blocket

スウェーデンには、Blocketという個人間の中古品売買サイトがあります。家具から教科書まで、ありとあらゆるものが売られており、スウェーデン人なら恐らく誰もが知っている、あるいは利用したことのある人気サイトです。

実は先日このサイト上で、あるとんでもないモノが売られていました!そのモノとは…

公的資金で賄われる私立小学校の運営権。

「ていうか、そもそもスウェーデンって私立学校なんてあるんだ?」と思われるかもしれませんが、あるんですよ。
ご存知の通り、国民が負担する教育費はゼロです(もちろん税金で賄ってるわけですが)。しかしここ数年は、競争原理の導入でサービスの質を向上させるため、民間主体への委託が増えています(教育分野に限らず、医療・高齢者福祉の分野も同様)。仕組みとしては、まず親は公立と私立の複数ある保育所や学校から子供を通わせたい場所を選びます。各施設は受け入れる子供の数に応じて、コミューン(市に相当します)から運営費が配分されることになります。

これはあまり知られていないスウェーデンの社会保障制度の一面だと思うので、Blocketの話から少し脱線し、詳しい説明をスウェーデン・パラドックス(おすすめです!)という本から引用させて頂きます:

施設の側は公立・私立にかかわらず、コミューンから配分される予算をもとに運営を行う。コミューンが規定するもの以外に独自の自己負担を利用者から求めることはできない。そのため、利益を上げようと思えば、効率化による経費の削減に励む必要があると同時に、サービスの質の向上に努めて児童・生徒を惹きつける必要がある。公立の施設は、利益を高める動機はないものの、サービスの質を高めなければ児童・生徒が集まらず運営費がコミューンから入ってこなくなる。このように公立と私立が、公費による財源のもとで同じ条件に立って競争を行っているのである。

しかし、競争原理の導入、民間主体への委託というのは当然良いことばかりではありません。私立小学校の運営権がBlocketで売買の対象となってしまったことは一つの例でしょう。

blocket school

その売り手は、私立学校を運営するために昨年、教育施設の査察機関へ申請を行いました。その結果180人までの生徒を受け入れても良い、という認可を受けたそうです。しかし、運営する気の無いその人物は、開校されてもいない小学校の認可証と登録済みの学校名を50万クローナ(約560万円)で売ろうとしていたわけです。「面倒臭い申請の手間が省けるよ!」というのが最大の売りなのでしょう。

そもそも売り手のモラルの問題はあるのですが、更に問題なのは、このような事態を防ぐための法律の整備がされていなかったこと。運営権を第三者に譲渡する場合、教育施設の査察機関に報告・再申請する義務が今のところありません。この抜け道を利用して、一儲けしようとしたのでしょう。付け加えれば、査察機関の審査も甘かったのではないでしょうか。

というか、Blocketという人気サイトに投稿することで、注目を浴びてしまうのではないかという懸念はなかったのでしょうか…?この人物は、あまりにもバレやすい場所で権利譲渡を行おうとしたために、たまたま見つかってしまったわけですが、もしかするとこの法律の抜け道をもっと賢く利用している人はいるかもしれません。

それが仮に小学校の杜撰な運営管理に繋がっている場合、最終的に被害にあうのは子供たちです。それは怖いなぁ…と思いつつも、まぁ競争原理が働けば、そういった学校は淘汰されていくんでしょうね。