知られざるノルウェーデザインを紹介する展覧会「NORWEGIAN ICONS(ノルウェージャン・アイコンズ)」のプレスプレビューに行ってきました!今回はそのときの様子をレポートしたいと思います。

Ceramic

今回のイベントは、主催者であるFUGLEN(フグレン)のオーナー、アイナル・クレッペ・ホルテさんによる本展の経緯についての説明からはじまり、その後キュレーターのペッペ・トルルセンさんによるギャラリーツアーが行われました。

プレスプレビューの終わりに思いがけない出来事がありました。日本とノルウェーの運命的な繋がりを感じさせる奇跡のようなお話です。ぜひ最後までお付き合いください!

 

展覧会「NORWEGIAN ICONS」の全貌

NORWEGIAN ICONS」は1940年から1975年を中心に、その時代のアイコンとなったノルウェーデザインを世界に発信することを目的とした展覧会です。当時発表された家具、インテリアデザイン、工芸品、ジュエリーなどのほか、同時期のモダンアーティストの作品、ノルウェーを代表する画家ムンクの作品を展示、販売しています。

FUGLEN

本展は5つの部屋で構成され、それぞれ作品に合わせた空間デザインにディスプレイされています。

まずはじめは、ミッドセンチュリーのジュエリーを展示したスペース。伝統的な彫金技法や、エナメルとシルバーを合わせたものなど、異なる素材を使用した個性的なジュエリーが並びます。

Jewelry

こちらはグレーテ・プリッツ・キッテルセンの作品です。彼女は日本でもキャサリンホルムのホーローボウル(※1)でお馴染みですが、ジュエリーもデザインしていたんですね!彼女の作品は器もジュエリーも目を引くような鮮やかな色彩で、ノルウェー人の生活に豊かな彩りを与えていたことが想像できます。

(※1)前回記事「知られざるノルウェーデザインの名作を紹介する展覧会「NORWEGIAN ICONS」開催!」をご参照ください。

次は、ファニーチャとアートを組み合わせた展示スペースです。

Furniture and Art

ノルウェーの森をイメージした空間でしょうか?中に入ると無作為に並ぶ木々の間にファニーチャとアートが現れます。1960年代は家具業界で革新的な試みが行われてきた時期で、木を曲げる技術が発達し、その技術により実験的な家具が多く作られました。

Popcorn

こちらはスヴェン・イーヴァル・デュステの《Popcorn》。デュステはノルウェーで最も商業的に輸出の面で成功したデザイナーです。

このチェアはノルウェーのアートギャラリーのために制作されたものです。1990年代にアートギャラリーに新しいディレクターが就任した時、趣味に合わないということでこのチェアは破棄されてしまいました。代わりにアルネ・ヤコブセンの《セブンチェア》に取り替えられたそうです。取り替えられてしまったのは残念ですが、見る角度によって表情が変わるこの作品はとても愛らしくて私は個人的にお気に入りです。

このエピソードにより、それ程ノルウェー人にとって自国のデザインに対する関心が薄かったということがわかりますね。

キュレーターのペッペさんが当時ノルウェーデザインで起きた出来事を知ってもらうために、良い面以外も包み隠さず正直に解説してくださっているところを見て、ノルウェー人の気質である真面目さが感じられました。

三つ目はガラスや陶器、鉄製のオブジェとムンクの作品を展示したスペースです。

Ceramic and Glass

こちらのスペースでは様々な素材で作られた食器やオブジェと一緒にエドヴァルド・ムンクの版画も展示しています。なぜ本展のデザインと時代の違うムンクの作品も展示されているかというと、ムンクはノルウェーにおける近代美術の父であり、今年で生誕150周年でもあるからだそうです。

Munch

四つ目は、小さな生活空間を再現したスペースです。

space

ノルウェーのデザインのみを配置し、華美な装飾を一切排除した生活空間は、日本人の私たちにとっても親しみを感じ、心が落ち着きます。奥の壁には現代のノルウェーを代表する写真家ルーネ・ヨハンソンの作品も飾られています。

そして、最後のスペースには巨大な四角い箱が待っていました。圧巻です!「NORWEGIAN ICONS」のカタログに掲載されているデザイナーの代表作が一つずつ収められ展示しています

Black box

 

奇跡!50年前の展覧会が今蘇った!?

キュレーターのペッペさんが東京へ飛び立つ二週間前に、オスロの古本屋で偶然見つけたというこちらのアルバム。日本風のデザインですが実際に開いてみると…

Photoalbum

なんと1960年に東京の百貨店で開かれたノルウェー展のフォトドキュメントだったのです!そこには当時の展覧会の様子が丁寧に記録されていました。

Photoalbum

ヴィンテージ家具業界の中で、1960年台にノルウェーの大規模な展覧会が東京の銀座のどこかで開催されたことは知られていましたが、その詳細を知る者はいなかったそうです。

ペッペさんは「このアルバムを見ると、今現在展示している多くのものが写真にも収められていることに気付きます。1960年に東京で開催されていたにも関わらず、どこか忘れ去られてしまったノルウェーデザインが、今こうしてまた同じ作品を展示している中で繋がりを作り、改めて見直すきっかけになったと思います。」とおっしゃっていました。

50年以上前に東京でノルウェーだけの展覧会がすでに開催されていたことにも驚きですが、その当時のアルバムが偶然ノルウェーで発見されるなんて奇跡としか言いようがありません。今日東京でノルウェーの展覧会が開催されることは最早必然だったのでしょう。

 

さらに島崎信先生もご登場!

最後に、前回北欧ヒュゲリニュースでもご紹介した書籍『ノルウェーのデザイン』の著者、島崎信先生(※2)がなんとギャラリーツアーにご登場されました!

(※2)前回記事「【北欧本紹介】これを読まずして『ノルウェーのデザイン』は語れない!」をご参照ください。

Makoto Shimazaki

このサプライズにみんなびっくり!先生自身も今回来られることは予定されていなかったそう。

島崎先生は1958年にブリュッセルで開かれた万国博覧会でノルウェーのデザインをご覧になられたそうで、「その時ノルウェーデザインは北欧のデザインの中でも大きな柱となっていた。」とおっしゃられていました。

1959年には柳宗理さんと一緒にオスロやベルゲンで一緒に買い付けした物が、前述した1960年に東京・銀座の百貨店で開催されたノルウェー展に展示されたそうです。

 

島崎信先生からステキなお知らせ 

Makoto Shimazaki and peppe来たる9月27日~10月14日に「島崎信と織田憲嗣の選ぶハンス・ウェグナーの椅子展」が青山のSPIRALで開催されます。こちらの展覧会ではなんと一部の椅子に直接座ることが可能なのだそう!憧れのハンス・ウェグナーの椅子に座れる機会!こちらも楽しみですね~。お見逃しなく!

 

「NORWEGIAN ICONS」は7月7日まで!

展覧会「NORWEGIAN ICONS」は7月7日(日)まで代官山ヒルサイドフォーラムで開催中です。ノルウェーデザインの名作の数々が日本で見られるまたとない機会。これを逃したら、次回はまたしても50年後!?…なんてそれは言い過ぎかもしれませんね。今回の展覧会でノルウェーデザインが見直され、もっと身近になるかもしれませんから。でも、北欧デザインが日本で流行している今だからこそ、ノルウェーと他の国の違いを知る絶好のチャンス!必見ですよー!

「NORWEGIAN ICONS」と『ノルウェーのデザイン』のおかげで、私はすっかりノルウェーデザインが好きになりました。黄金期のデザインも最新のデザインも、ノルウェーデザインがもっともっと日本で見られるようになることを願っています。

 

[Information]
◎NORWEGIAN ICONS(ノルウェージャン・アイコンズ)
期間:2013年6月21日(土)~7月7日(日)
場所:ヒルサイドフォーラム & ギャラリー
住所:東京都渋谷区猿楽町 18-8 ヒルサイドテラス
※詳細はオフィシャルサイトをご覧下さい。