いよいよ会期残りわずか!大阪市立東洋陶磁美術館で大好評開催中の展覧会「森と湖の国 フィンランド・デザイン展」は7月28日まで!今回は本展の取材を元に、フィンランドのデザインがなぜ美しく洗練されているのか、その理由についてレポートしたいと思います。

(以前の記事大阪にて絶賛開催中!「森と湖の国 フィンランド・デザイン展」に行ってきましたも合わせてご覧下さい。)
 

なぜフィンランドのデザインは美しく実用的なのか

Kaj Franck

大阪市立東洋陶磁美術館の学芸員で展覧会「森と湖の国 フィンランドデザイン」担当の重富さんから直接お話を伺う機会を得ることができましたので、色々な質問に答えて頂きました。

-東洋陶磁美術館でフィンランドの陶磁器やガラスを扱うのはなぜですか?

大阪市立東洋陶磁美術館はその名の通り、日本はもとより中国や韓国の陶磁器のコレクションで有名ですが、企画展はその枠に囚われず、過去にもマイセンやロイヤルコペンハーゲンなど西洋の陶磁器を広く紹介してきました。元々、陶磁器は西洋が東洋の技術をマネしてきた歴史もあり、西洋の陶磁器やガラスを見ることで、日本をはじめとする東洋の陶磁器の理解を深めることができます。

glasses

-フィンランドデザインが生まれた背景を教えてください。

フィンランドは独立までの長い間、スウェーデンとロシアに支配されていた歴史があり、それまで自国の文化がありませんでした。そのため1917年に独立した際にフィンランド人のアイデンティティが一気に溢れ出て、愛国精神が強くなり、フィンランド独自の文化を築いていこうという気持ちが国全体で高まりました。第二次世界大戦でフィンランドは敗戦国となり、多くの資源をロシアに奪われ疲弊していました。原材料をほとんど輸入に頼っていたため、1950年代初めまで原材料不足でものを作り出すことは大変でした。そんな中でガラスはまだ残っていました。(それでも当時は厳しかったそうですが。)当時ソ連圏に属していたフィンランドは、他のヨーロッパの国々からは共産国になると思われていました。そこで世界に向けて高品質のデザインの製品を作って輸出し、共産国にはならないというアピールをすることがフィンランドにとって重要となりました。その結果、デザインの分野で他の北欧諸国と肩を並べるようになり、スカンディナビアデザインに位置づけられるようになりました。

-フィンランドデザインの特徴を教えてください。

フィンランドは生活全体をデザインするという考えを持っています。例えば椅子をデザインする時、椅子のことだけを考えるのではなく、一つの空間全てをデザインする意識を持っていました。デザインが置かれる環境や調和を大切にし、くらしそのものをデザインする意識が根付いています。

また、フィンランドのデザイナーたちは工房に入り、直接職人とやりとりをしていました。(その中でもカイ・フランクはよく工房に出入りしていたそうです。)デザイナーのセンスと職人の技の共同作業により、美しいデザインの作品が生まれてきました。

-日本の竹や盆栽をモチーフにした作品が展示されていましたが、日本の影響を受けていたのでしょうか?

日本の文化はフィンランドでもよく紹介されていました。日本の文化が流行になった時期もあり、日本の民藝運動もカイ・フランクに影響を与えました。特に本展でも出品されている《ボウル》(1971年)は、陶器の釉薬(ゆうやく※素地の表面に施すガラス質の溶液)を大胆に掛けたような作品で、カイ・フランクの作品には珍しく、表面は白と黒のまだら模様で凸凹があります。この作品は気泡を効果的に使ったガラスで、カイ・フランクが日本から持ち帰った蛸壺がモデルとなっています。この蛸壺はカイ・フランクが亡くなる前年の1989年に行われた「ルニング賞での日本への旅行 1956 -アジアにおけるひとりの異邦人」に展示され、またカイ・フランク生誕100年記念の展示でも出品されていました。彼の「デザインとはデザイナーが名を残すことではなく、人々の日常で長く使われ、必要とされるためにある」というデザイン思想を端的に表したものと考えられます。

フィンランドと日本は「さりげなさ」という共通の美意識があり、カイ・フランクは「どうだ、いいだろ」と見せびらかすように主張するものが嫌いだったそうです。フィンランド人の特徴に目立たないように気を使うという側面があるそうですが日本人の感覚と似ています。

 

長く大切にされるフィンランドデザインKaj Franck

-本当に一般的な家庭でもフィンランドデザインの食器が使われていたのですか?

実際に一般的な家庭でも使われていました。例えば、おばあちゃんが大切にしていた食器が孫の代にも受け継がれ、その孫が新たに食器を買い足す時には、おばあちゃんの食器にも合わせて選ぶことができます。時代を超えたデザイン性が一般の家庭にも普及し、長く愛されてきました。

 
フィンランド・デザイン展のガラスや陶磁器を見ていると、スタッキングして展示されているものが多いことに気が付きます。ただ積み重ねられているだけでなく、スタッキングされた時の美しさにもこだわりがあるようでした。

Nanny Still

上の写真のナニー・スティルハーレクインセット》もそうです。中央のそろばん珠を2つ重ねたような作品は、2種類の調味料をスタッキングすることが可能です。使用しているときの使いやすさはもちろん、積み重ねられた時の美しさまで計算されています。 

食器や日用品は使っている時間よりも使われていない時間の方が長いものです。フィンランドデザインが人々に愛着を持って長く使われる理由の一つに、使用する時の実用性だけでなく、使われていないときのデザインの姿まで考えられているからでしょう。

 

展覧会は7月28日まで!

Timo Sarpaneva

独立から現代まで100年足らずの歴史の中で、戦争やオイルショックなど度々起こる困難を乗り越えて来たフィンランド。そのフィンランドから生まれたデザインは、美しさだけでなく内面に強さを宿しているようにも見えます。

魅力溢れるフィンランドデザインを一堂に鑑賞できる展覧会「森と湖の国 フィンランド・デザイン」は7月28日までです!大阪の次は北海道立近代美術館へ巡回されます。フィンランドの歴史や文化に思いを馳せながら、美しいデザインをその目で、心で、直に感じてみてくださいね。

 

割引券をゲットしよう!

この展覧会に興味を持たれた方は、ぜひ大阪市立東洋陶磁美術館の「森と湖の国 フィンランド・デザイン」公式サイトにて割引券もゲットしてくださいね。一般だと200円、高・大生は100円安くなりますよ!そちらもぜひチェックしてみてください!→割引券はコチラ!

 

THE MUSEUM OF ORIENTAL CERAMICS,OSAKA[イベント情報] 

◎森と湖の国 フィンランドデザイン
期間:2013年4月20日(土)〜7月28日(日)
場所:大阪市立東洋陶磁美術館
住所:大阪市北区中之島1−1−26
※開館時間や料金は大阪市立東洋陶磁美術館HPで確認してくださいね!