こんにちは。はじめて記事を書かせていただく、ヒュゲリライターの明日香です。

10月4日(金 )に心斎橋スタンダードブックストアカフェにて開催された、「『BIRD』リニューアル創刊号(第一特集:アイスランド)」トークショー」に参加して来ました。

加藤直徳さん(TRANSIT編集長)、林紗代香さん(BIRD編集長)、そして本誌に写真を提供された写真家の稲岡亜理子さんのお三方が、本号のコンセプト、出版までの経緯、特集したアイスランドについてを一時間半にわたってお話し下さいました。

bird1

私は、先月初めに偶然アイスランドへ旅行していたことが縁で、今回のトークショーについて教えて頂いたのですが、実際に会場に来られた方にもアイスランドへ行ったことのある方がちらほら。既に数回、という方もいらっしゃいました。

会場に訪れたお客さんは、男性:女性=3:7くらい。年齢層も、20代から50代くらいまでと幅広かったのが印象的でした。

さて、まずはBIRDという雑誌について。

bird2

(右は当日配布されたアイスランドに関する小冊子。駐日アイスランド大使館さんから頂いたものだそうです。)

元々は、皆様ご存知のあの『TRANSIT』(北欧版既出。残念ながらこの時アイスランドは含まれていませんでした)の副本のような立ち位置で、これまでアメリカ特集とインド特集で2冊発行されていますが、今回、独立した雑誌としての出版に至り、ゆえに第三号ながら「リニューアル創刊号」というわけです。

では、アメリカ、インドと来て何故今回がアイスランドなのか?

きっかけは、BIRD編集長の林さんが、写真家・稲岡亜理子さんのアイスランドの写真を見たことだったそうです。

亜理子さんは2002年に初めてアイスランドを訪れ、それ以来10回を越える訪問を重ねています。本誌内でアイスランドを「私の魂の帰る場所」と表現する亜理子さん。自身の目線でアイスランドを語って下さった中で、旅行で4日間ほど滞在しただけの私でも「確かに」と思った、印象的なお話を二つだけ紹介します。

 

人の「良さ」

初めて亜理子さんがアイスランドを訪れ、撮影した写真を現像しようと「暗室があるところがないか」と友人に尋ねた時のこと。

その友人は別の友人に電話をかけ、更にその友人もまた別の人に…と、とうとう暗室を持つ人を探しあててくれました。かつ、その人は、わざわざほとんど他人の亜理子さんを迎えに来てくれたのだそうです。

私も旅行中、アイスランドのツアー会社を利用したのですが、彼らが一人一人をきちんとそれぞれのホテルまで送り迎えしてくれたことに感動したことを覚えています。最終日には、フライトのために、まだ真っ暗な朝の4時前からホテルを回って観光客らをピックアップし、空港へ連れて行ってくれました。

bird3

アイスランドの首都レイキャヴィクは、一国の首都とは言え、歩いても一日あれば十分、というくらいの大きさの都市です。また夏は夜も明るく、比較的安全。おまけに道路もけして広くはないのに、そこを小型バスで入って来てくれて、ホテルのすぐ近くまで来てくれる。

その時のことを思い出して「ああ、やっぱりあれはアイスランド人のキャラクターの一部だったんだ」と感じました。

亜理子さんはこれを「純粋さ」という言葉で表現します。

bird4

(写真はストックホルムの12月)

皆さんご存知の通り、北欧の冬は長く、暗いものです。そのためか、うつ病罹患率も高いと言われています。純粋さは、そんな冬を乗り越えていくために必要な「強さ」であり、いわゆる「標準装備」なのかも・・・。

 

自然

これについては、どうぞBIRD本誌と、先日のヒュゲリニュース記事をご覧になって下さい!と言うのが一番なのですが、やはり印象に残った言葉をご紹介します。

「旅行して2日目くらいまでは自分の時間で動く。でも、3、4日目以降は、アイスランドの時間に入って行く感じがする」。

アイスランドは北海道より少し大きな島に30万人か住んでおらず、かつその大部分はレイキャヴィクなど都市部に集中しているため、一歩郊外へ出ると人気のない原野が広がっています。

bird5

火山島なので、溶岩が固まった大地にコケや丈の低い細い草が生えている。遠くを見れば木の生えていない黒っぽい茶色の山が見えます。とても不思議な風景でした。

そこを一本だけ通る道路を走っていた時から、「何故この風景を不思議だと思うんだろう?」と思っていたのですが、今回亜理子さんのお話を聞いていて「そうか、森がないからだ」と気がつきました。

森がなくても、その分空が圧倒的に広いアイスランドの風景は、荒涼としながらも壮大で、豊かだという印象が強いものでした。空と地面の間、山の間をゆっくりとした時間が流れて行っているようで、徐々にその壮大さと緩やかさに体が馴染んで行くような感覚になったのを覚えています。

bird6

…とはいえ、私が旅行したのはアイスランド西部のほんの一部。宇宙に例えられることもあるアイスランドの風景は、東西南北、更には夏か冬かで、まったくの別世界が広がっているそうです。

ハマる人はハマりこんでしまう魅力を持っているアイスランドを旅行するにあたって、亜理子さんのお勧めは、道路を使って一周すること。島を一周できる道路網があるので、車で8日間ほどです。私もいつかチャレンジしてみたいなぁ、と思っています。

 

今回のBIRDのコンセプトは「24時間」。朝起きて、準備するところからが「旅」である――ということで、本誌も「朝」に関する記事から始まり、「深夜」の記事で終わります。

「旅」は、自分の知らなかった風景、価値観、自分を発見するもの。それを、実際に旅に出ることだけでなく、日常でも写真や文章によっても発見することができたら。

そんな想いで、このBIRDという雑誌は作られているそうです。

編集に携わったメンバーは同世代(30代前半)の女性ばかりで、それがトークショー来場者の女性率の高さに繋がっていたんだと思われますが、「自分が楽しみたい」という気持ちで作り始めたゆえか「押し付けがましくなく」、結果として一定の男性も惹きつける「中性的」な雑誌になったのではないか、とのことでした。

bird7

読んだ後に「私は私でいいんだ」と思ってくれたらいい。アイスランドの美しい写真の数々の裏にある、林編集長のそんな願いを感じ取りながら、休日や平日のふとした時間に、BIRDのページをめくってみてはいかがでしょうか。