いつもはあまりご紹介しないタイプの本を、本日はご紹介してみます。2012年11月に出版された本、『北欧モデル 何が政策イノベーションを生み出すのか』です。

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本書の著者は元日本銀行行員の翁百合氏、元三井銀行行員の西沢和彦氏、元住友銀行行員の山田久氏、同じく元住友銀行行員の湯本健治氏であり、ヒュゲリニュースではなかなか登場しないタイプの経歴を持った方々が書かれた本です。

 

どんな本?

まずはじめに、全体として本書で語られていることを、本書の「はじめに」から引用してご紹介します。

私たちは本書で「ゆりかごから墓場まで」「高負担高福祉」といったステレオタイプな従来型北欧像ではなく、最近の北欧諸国のダイナミックで柔軟な政策イノベーションの数々を紹介し、その本質は何なのか、こうした政策イノベーションを生み出す背景には何があるのかを検討することにより、新しい北欧像を読者に提供したいと考えている。

引用:北欧モデル 何が政策イノベーションを生み出すのか

このように、全体を通して「従来の北欧のイメージとは違うけれども、それでも今の日本にとって学びとなるであろう、北欧(スウェーデンがメイン)の政策面の特徴」を、雇用や金融、税金、年金といった角度から紹介してくれている本です。アベノミクスが上手くいっているように見える日本ですが、一方でまだまだ課題も山積みの我々の未来を考える際に、一助となってくれそうな本です。

 

スウェーデンと日本、労働面の特徴

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今回本書を読んでみて、僕が特に自分事として捉えられて興味深かったのが、第1章の雇用に関するところ。スウェーデンにあって日本にない労働面の特徴として、①人材の流通が活発であること②マクロ的な賃金交渉が機能していること③検証に基づいて政策プログラムを実行していること。という3つが挙げられています(僕なりの解釈で説明しています)。

①に関しては本書では、日本の男性の平均勤続年数は13.1年なのに対し、スウェーデンのそれは9.9年であるというデータを引き合いに出し、日本よりも人材の移動が活発であると述べています。また、18歳〜24歳の転職に対する考え方は、スウェーデンでは42.0%が積極的だと回答したのに対して日本で積極的だと答えたのは14.2%だったそうです。

②については、日本の労働組合の組織率(労働者が組合に所属している確率)は18.2%であるのに対し、スウェーデンでは68.3%であるそうで、そのような事実からスウェーデンの方が組合レベルでの賃金交渉等が機能しているとしています。

③については、具体例を拾えませんでしたが、とにかくスウェーデンの方が日本よりも政策の見直しが正しく行われていると言う事のようです。

 

まとめ

これを読んで振り返ってみると、確かに日本ではひとつの企業に長く勤めることが美とされているようなところがありますし(それはそれで良いところですけどね)、春闘の賃上げ交渉もそんなにみんなが関心を持っていないように感じます。政策に関しても、雇用に関するものに限らず、喉元過ぎると話題にならなくなるというのを繰り返し、過去に行ったことの検証が出来ている気がしません。

他に取り上げられている内容も勿論大事ですが、まだまだこれから長い時間働いていかなければならない身として、北欧の雇用に関する政策の良いところも悪いところも学んで、自分の意見に取り入れていきたいなと思った次第です。

ということで「北欧の政治にも興味があるよ」って方にオススメしたい一冊のご紹介でした!

 

[Information]
◎北欧モデル 何が政策イノベーションを生み出すのか
出版社:日本経済新聞出版社
発売年月:2012年11月