昨年末に始めた新連載『YOUは何しに北欧へ?』のVol.4をお届けします。

Vol.3のスウェーデン王立バレエのダンサー木田真理子さんにご紹介いただいたのは、スウェーデンのヨーテボリを拠点に北欧で活躍している陶芸家の大矢真義(おおや・まさよし)さん。

すごく素敵な作品をたくさん発表していて、私自身が彼の作品のファンです。ストックホルムでも彼の作品を目にすることがあるし、私と年齢が近いアーティストなので、すごくいい刺激をもらっています。

と大矢さんについて語る木田さん。そんな大矢さんがインタビューに快く応じてくださいました!陶芸家の大矢さんは、スウェーデンに約6年住んでおり、現在はヨーテボリという西海岸にある街で生活されています。

それでは最後までインタビューをお楽しみください!

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カーディガンズをテレビで見たのが一番初めのきっかけ

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画像:Patric Johansson

1. スウェーデンに引っ越したきっかけを教えてください!

ミュージシャンのカーディガンズをテレビで見たのが一番初めのきっかけです。それ以来、音楽を始め、アート、建築、陶芸、デザイン、生活スタイルなど色んな分野に興味を持ち、自分の肌でスウェーデンの文化を感じたいと思い、愛知県にある瀬戸窯業高校の専攻科を卒業後、スウェーデンに渡ることに決めました。

色々調べていくうちにカペラゴーデンというエーランド島にある工芸の学校を見つけ、そこの学校に通う事になったのが現地での生活の始まりでした。

2. 今はどのような活動をされていますか?

現在、スウェーデンにある2番目に大きいヨーテボリという街に住んでいます。そこで、13人のアーティストと作業場をシェアして陶芸の作業をしつつ、今はリードショッピング(Lidköping)にあるロールストランドというセラミックの工場で、アーティストの一人としてプロジェクトに携わっています。

それと、現在ストックホルムでの個展の準備と、ストックホルム市から受けた公共アートの仕事をしています。陶芸の他には、日本人のデザイナーの日比野一昭氏とYOINというグループとしても活動しています。彼とは、HDKというアートとデザインの大学で会ったのがきっかけで、一緒に仕事を始めることになりました。

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3. スウェーデンに来て仕事上で一番の苦労話(あるいはカルチャーギャップを感じたこと)を教えてください!

自分の中で、(スウェーデンに)来た当初はスウェーデンをヨーロッパの他の国と一括りにしていた部分があったので、(日本との)カルチャーギャップが大きいのだろうと思っていました。けれどもそのギャップが思っていたほど大きくないなと気づいた時に、今度は何が違うのか自体がわからずに悩むようになりました。今は、そのとき気がつけなかった小さなカルチャーギャップにも気づけるようになり、以前に比べたらスウェーデンの生活にも慣れました。

4. カルチャーギャップが小さかったということは、日本とスウェーデンが似ていると感じられた、ということでしょうか?

自分は、ヨーロッパの人は意見をストレートに言うイメージがあったのですが、スウェーデンでは、そうではなかったということ。また、日本人のようにシャイだったり、意見を遠回しに言ったり、でもお酒を飲んだら人が変わったり(笑)、繊細な所だったり。ただ、これは他の国に比べたとき、という意味で、全く同じという意味ではないです。

 

特に嬉しかったのは、自分の作品を通した色んな人との出会い

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画像:Christian Strömqvist(ヘルシンキのギャラリーLOKALにて)

5. スウェーデンに来て仕事上で一番嬉しかった話を教えてください!

たくさんあるのですが、その中でも特に嬉しかったのは、自分の作品を通した色んな人との出会いです。特に、分野に関係なくアーティストやデザイナーの人と一緒に仕事をすることは、色んな面で自分のインスピレーションになりました。

その他にも、ストックホルムで会った人がミラノの展示会に誘ってくれて、ミラノやヘルシンキ、その他の国での展示が叶ったり、自分の世界が広がったことも嬉しかったです。

6. 大矢さんがスウェーデンで学んだ仕事術あるいはライフスタイルで、日本でも取り入れられそうな(あるいは日本人が見習うべき)ことはありますか?

少し質問とずれるのですが、スウェーデンでは、色んな人の可能性を支援するシステムがあります。例えば、様々な分野の専門の人の活動を支援するために、奨学金や支援金などが数多く存在しています。アート、工芸、デザインなどのカルチャー分野もです。

自分も、日本人なのですが、他のスウェーデン人と同様に創作活動を支援されています。特に、金銭面での援助は自分の創作活動を行う上で、大きな助けになっています。

色んなの人の能力を支援して、伸ばしていくようなシステム、そんな取り組みを日本でももっと取り入れられれば良いなと思います。

両親を喜ばせたいので、日本での展示が出来たらなと思っています

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画像:日本での展示企画を一緒に進めているマリアンヌさんと

7. 今後の目標を教えてください。

今後は、国境やスウェーデン国内に限らず、色んな国の人と仕事をしていきたいです。自分にとっては、人との出会いが、人として、アーティストとして、そしてデザイナーとして、創作の大きな刺激になるので。また、他の国でも、個人として、YOINとしても積極的に活動をしていきたいと思っています。

また、今まで日本で一度も展示会をしたことがないので、両親を喜ばせるためにも、日本での展示が出来たらなと思っています。そのために同じ作業場にいる陶芸家のマリアンヌさん(写真の女性)と一緒に日本での展示の企画を進めています。うまく行くと良いのですが。 

8. 大矢さんにとって、もっともヒュゲリ(デンマーク語で心地良い・リラックスできるという意味です)な瞬間はなんですか?

スウェーデンでは、人が違って当たり前だったり、個人の意見やしていることが尊重されたりします。なので、自分にとってここでの自由な創作環境、活動ということ自体が、自分にとってヒュゲリだと思います。

また、自分にとって、日本文化のお風呂に入るというのもヒュゲリです!

9. この企画は、リレー形式で続けようと思っております!他に北欧で活躍している日本人の方をぜひご紹介ください。

実際にお会いしたことはまだないですが、フィンランドにいる陶芸家の大野藍さん。ヘルシンキの「Hej Oiva!」というエキシビションでギャラリーの人と知り合いになって、その方に紹介されました。

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いかがでしたでしょうか。

実はこのインタビューのあと、大矢さんから嬉しいお知らせメールが届いたんです。なんと、大矢さんが活動されているYOINというグループがデザインしたLEDソーラーランプがついに商品化されたとのこと!

太陽光専門のスウェーデンの照明ブランドであるmooniとのコラボレーションにより実現しました。シリーズ化されている商品ですが、そのうちの一つがこちら:

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北欧の冬は、暗くて長い夜が何ヶ月も続きます。それだけに、太陽の光というのは現地の人々にとって、とても特別なもの。私もスウェーデンに住んでみて初めて、太陽の存在にありがたみを感じるようになりました。また、人間にエネルギーを与えてくれて、大切な役目を果たしてくれているんだなぁ、ということも実感しました。

太陽光に対する意識が高いスウェーデンで生活をされているからこそ、大矢さんもこのような作品を生み出すことができたのではないかと思っています。また、提灯という日本文化とのフュージョンも素敵ですよね。

ちなみに大矢さんにとって、このようにご自身がデザインされたものが商品化されたのは、人生初とのこと! 本当におめでとうございます。マリアンヌさんとの日本での展示もとても楽しみですよね。今後のご活躍にも乞うご期待!

次回はスウェーデンを離れてフィンランドに移ります。大矢さんと同じく陶芸家として活動されている大野藍さんにインタビューします。

引き続きお楽しみに!