「世界一難しい言語」とたまに表現されているのをネットなどで見かけるデンマーク語。このシリーズではデンマーク語についてなるべく専門的な用語を使わないで紹介していきたいと思います。

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画像:Hvorfor er det så svært at lære dansk? Antologi – Special-pædagogisk forlag, Herning

まずは、なぜデンマーク語が「世界一難しい言語」だと表現されるのか、その原因を少し探ってみようと思います。

※本記事内に登場するカナ表記は、あまり信用しないでください(笑)。デンマーク語の発音を、無理矢理日本語の発音に当てはめているからです。この通りに発音すると通じるかもしれませんが、不自然になってしまいます。

ずばりデンマーク語が難しいとされる理由の1つに「綴りと発音の差が激しい」というのが挙げられます。どれくらい違うのか少し例を挙げてみます。

例えば、「私はデンマークが好きです」をデンマーク語で言うと

Jeg kan godt lide Danmark. (ヤイ・カ・ゴットゥ・リー・デンマーク)

lide(リー:苦しむ)やgodt(ゴットゥ:形容詞godの副詞としての用法)に注目してみると「アレ?? ¨d¨は発音しないの?」と思えてしまいます。jeg(ヤイ:わたし)の発音も綴りからはイメージするのは難しい。

実はデンマーク語には上で挙げた¨d¨のような、文字で書かれるのに読まない黙字が非常に多いのです。実際にデンマーク語・フランス語・英語で黙字の多さを比較してみた実験があります。

silenc. from Momo Miyazaki on Vimeo.

実験の内容は「人魚姫」の各国版の同じ部分を抜き出し、黙字を抽出し消すとどうなってしまうのか試すものでした。結果はデンマーク語が32%、フランス語が28%、英語が16%。大雑把に言うと書かれている全文字数の3分の1程度しか実際には発音しないということになります。

古いデンマーク語ではこれらの黙字も発音されていたのですが、徐々に発音されなくなり、遂には黙字となってしまったのです。

本来ならば、正書法と呼ばれる綴りに関するルールの改訂などで書く必要がなくなるはずなのです。ところが長い歴史の中で最も大きな変更があったと言われる1948年の改訂でも黙字については少ししか改訂が加えられませんでした。

こうした背景もあってデンマーク語には多くの黙字があります。デンマーク語学習者にとってはやっかいです。パターンさえつかめば問題ないのですが(笑)。

というわけで今回はこの辺で。次回はデンマーク語の特徴的な発音¨r¨の発音について紹介します。

参考:
silenc. on Vimeo
Retskrivningsordbøger gennem tiden — Dansk Sprognævn
Hvorfor er det så svært at lære dansk? Antologi – Special-pædagogisk forlag, Herning