今日は『YOUは何しに北欧へ?』のVol.9をお届けします。

Vol.8のフィンランドの画家・川地琢世さんにご紹介いただいたのは、ヘルシンキにお住まいのコーディネーター、歌野さん。

歌野さんがフィンランドに興味を持つようになったきっかけは、母校である国際基督教大学でフィンランド人留学生に出会ったこと。その後、交換留学先としてフィンランドのタンペレ大学を選び、大学卒業後には再びフィンランドへ渡って大学院留学をされました。それからすでに9年が経ち、今はヘルシンキで「色々なご縁をコーディネートさせていただく」という活動方針のもと、コーディネーターとして活躍されています。

それでは最後までインタビューをお楽しみください!

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穏やかで伸び伸びとしたフィンランド人留学生の様子に興味が湧いた

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1. フィンランドに引っ越したきっかけを教えてください。

私は二度、フィンランドに引っ越しています。一度目の引っ越しは大学生の時です。母校、国際基督教大学からの交換留学先としてタンペレ大学を選び、1年間タンペレ(ヘルシンキから北へ200km程の都市)に暮らしました。

留学先としてタンペレを選んだのは、大学で出会ったフィンランド人留学生達の存在が大きかったと思います。穏やかで伸び伸びとした彼らの様子に「こんな素敵な人達が育ったのはどんな国なんだろう」という興味が湧いたのです。

二度目の引っ越しは大学卒業後です。ヘルシンキ大学の大学院に留学することになり、ヘルシンキへ引っ越してきました。そのまま就職し、やがて独立し…と現在もヘルシンキに在住しています。

2. 今はどのような活動をされていますか?

ヘルシンキの街角でOffice Utanoという小さな事務所を主宰しています。事務所設立時は日本からフィンランドにいらっしゃる個人旅行やウェディングの手配・現地ご案内が中心業務でしたが、だんだんと取材や撮影のコーディネート及び執筆も担当させていただくようになりました。

ヴィンテージデザイン収集の趣味が高じてヴィンテージ食器ショップAstialiisa(アスティア・リーサ)をお手伝いするようになり、それがご縁でヴィンテージ食器・家具の買付、日本への輸出サポートも行っています。

輸出の経験から、最近では現地帽子メーカーCOSTO(コスト)の日本営業窓口も担当させていただいています。また生活に根付くフィンランドデザインの体験を提供するため、この夏からはアパートメントホテルの運営も始めました。まさに何でも屋状態ですが、根底にあるのは「フィンランドと日本の間でご縁をコーディネートさせていただく」というシンプルな活動方針です。

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3. フィンランドに来て仕事上で一番の苦労話(あるいはカルチャーギャップを感じたこと)を教えてください!

会社員になりたての頃、本当に16時で空っぽになるオフィスに残された時は唖然としました。「1日7.5時間労働で8時からお昼を挟んで16時までの労働」は、オフィスワークで基本とされるパターンです。頭では分かっていたものの、16時にパタッとコンピューターを閉じて「また明日!」と言われると、ついつい終わっていない自分の仕事のために同僚を引き止めたくなってしまったものです。でも、それは仕事のルールとして反則。ボスでも新人でも、16時は16時。その後の生活は完全に個人のもの、というはっきりした線引きを感じました。

「時間通りに仕事が終わるように効率良く必死で働いて、時間になったら終わっていない分は明日へ繰り越す」という感覚は私にとって新しく、慣れるまでは私だけ残業ということもよくありました。

4. フィンランドに来て仕事上で一番嬉しかった話を教えてください!

日本にご帰国なさったお客様から、メールやお手紙、お電話で「ありがとう」というお言葉をいただく時が仕事上で最も報われる瞬間です。ご案内の最後に「よしこさん、一緒に写真良いですか?」とお声がけいただくこともあり、後日お写真を送ってくださるお客様もいらっしゃいます。

バタバタしている毎日の中で、ふとメールボックスにそんな写真を拝見すると嬉しくて思わずウルッとしてしまいます。有難いことにこういう瞬間は一度と言わず経験させていただいています。「一番」を決めるのは、なかなか難しいですね。幸せな悩みです。

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kahvitauko(カハヴィタウコ)を多めに取り入れるのはとても効果的

5. 歌野さんがフィンランドで学んだ仕事術あるいはライフスタイルで、日本でも取り入れられそうな(あるいは日本人が見習うべき)ことはありますか?

単純なことなのですが、kahvitauko(カハヴィタウコ)、いわゆるコーヒーブレークを多めに取り入れるのはとても効果的だと思います。

会社員時代には、日に4〜5回「コーヒー飲む?」と同僚から声をかけられていました。一緒に給湯室に行って飲むこともあれば、淹れてもらったコーヒーを自席で一人飲むこともあります。温かいコーヒーに気分がほっとするだけでなく、没頭している内容から物理的に一歩距離を置く効果もあります。

コーヒーカップを持っている間はコンピューターに触れられず、電話もできません。仕事の成果を客観的に見つめたり、同僚とちょっとした報告をし合ったり、無意識ながら軌道の微調整ができていたようです。

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6. 今後の目標をぜひ教えてください。

一日でも長く事務所の営業を続けることです。

2012年の事務所設立からこれまで、有難いことに途切れなくご依頼をいただいています。自分の得意分野のご依頼もあれば、挑戦となるご依頼もありました。ご縁が広がり、お仕事の分野も様々です。今後はご縁をいただいた分野をOffice Utanoなりに整理・蓄積していくことを目指しています。

どこまでいっても、最終的に最も大切なのは日本とフィンランドの間での皆様のご縁をコーディネートし、繋ぐことです。できるだけ多くのご縁を繋いでいくためにも、息切れせず一歩一歩踏みしめながら走っていきたいと思います。

静かな森で過ごす時間がもっともヒュゲリ

7. 歌野さんにとって、もっともヒュゲリ(デンマーク語で心地良い・リラックスできるという意味)な瞬間はなんですか?

静かな森で過ごす時間です。夏のベリー、秋のきのこと、下を向いて宝探しをするのも良い時間ですが、くっきりした青空やワサワサと風にゆれる木々の緑を眺めるのも好きです。森の中でサウナに入り、木々に囲まれながらビールを飲む時間も最高です。

フィンランドに暮らすまで意識したこともありませんでしたが、木が持つ安らぎに助けられています。私が森に入ったその日も、前日も、1年前も、10年前も同じように木々がそこにあったと思うと、自分が大きな流れの一部にほんの少し登場しているに過ぎないことが実感されて心が落ち着くのです。

この気持ちを少しでも皆様と分かち合いたくて、昨年の夏用に作った事務所のご挨拶用ポストカードには森でサウナ姿の私を使ったほどです。

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画像:Jukka Isokoski

8. この企画は、リレー形式で続けようと思っております!他に北欧で活躍している日本人の方をご紹介いただけますか?

デンマークでご活躍中のコーディネーター、ニールセン北村朋子さんをご紹介したいと思います。ニールセン北村さんとのご縁は、はっきり言って「ファンとスター」です(笑)。

ニールセンさんがお住まいのロラン島は、環境問題への提起となるような先進的な取り組みが注目されており、日本へその成果をご紹介なさっているのがニールセンさんです。
「この国って良い所なんですよ。素敵でしょ?」で終わるのではなく、「この国のこういう所は日本の未来に活かせるでしょ?」という視点で視察やTV番組のコーディネートをなさっているニールセンさんのお仕事は、日本のよりよい未来作りの一助となっています。

フィンランドでも同じく先進的な取り組みを日本へ紹介し続けられているコーディネーターの大先輩がいらっしゃいますが、ニールセンさんやこの方のようなコーディネーターは大変貴重な存在です。

ニールセン北村さんのお仕事に向かわれる姿勢、気さくな雰囲気の秘密を知りたい!というファン心理(?)で、ご登場をお願いしました。

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いかがでしたか?

フィンランドのコーヒーブレイクであるカハヴィタウコ、私も会社で取り入れてみたいと思います!たまにはコンピューターから離れて、仕事の成果を客観的に見つめたり、同僚とちょっとした報告をし合ったり…という時間を取ることも重要ですよね。

歌野さんの「静かな森で過ごす時間」というヒュゲリな瞬間も、個人的にはとっても共感!私は今年の夏休みをスウェーデンで過ごしたのですが、ゆったりとした時間が流れる静かな森の中で、ベリー狩りを満喫してきました。森の奥のほうまで進むと、車のエンジン音が一切聞こえなくなり、完全に「無」の状態でとても神秘的な空間にいるような気分になります。みなさんにもぜひ一度経験していただきたいです!

ということで歌野さん、インタビューへのご協力ありがとうございました!歌野さんの活動についてもっと詳しく知りたい方はホームページをぜひご覧ください。

次回はデンマークのロラン島を基盤にコーディネーターとして活躍されているニールセン北村さんをご紹介します。

引き続きお楽しみに!