ヒュゲリなコラム

本当は醜く毛深い怪物?北欧に伝わるトロールについてまとめました

写真:Fremont Troll near Seattle by Michael Matti | Flickr – Photo Sharing!

「トロール」という言葉、初めて耳にしたのはどこですか?

「ムーミントロール」?それとも『ドラゴンクエスト』の「トロル」でしょうか?他にも『ハリーポッター』や『アナと雪の女王』にも「トロール」が登場します。

「トロールビーズ」というデンマーク発祥のアクセサリーも日本で人気があるので、そこからトロールの名前を知った方も多いかもしれません。

日本ではアニメやゲームの登場キャラクターとしてよく登場するトロールですが、「トロールとはなにか?」について詳しく書かれたウェブサイトは多くありません。

そこで本記事では、トロールについてまとめてみました。

もくじ

トロールってなんだ?

トロールとは「北欧に伝わる怪物のこと」です。

原書房から出版されている『世界の怪物・神獣辞典』によると、北欧に伝わる本来のトロールは「巨大で醜く毛深い、性悪の巨人」なのだそう。

北欧でも国や地域によって伝承のされ方は違い、たとえばデンマークのエブレトフトという地域に伝わるトロールは「背中にこぶのある、大きな鉤鼻のオーグル(人食い巨人)で、灰色の上着と先のとがった赤い帽子を身に着けている」ことが特徴。

アイスランドのトロールは「性悪なひとつ目の巨人」、フィンランドのトロールは湖に棲み、神秘的な石の力によって普段は閉じ込められているけれど「霧が出たり嵐になると、石の魔力が弱まるために、人々は外に出ず、釣りもしない」のだとか。

ノルウェーに残る伝承が面白くて、同じく「性悪で毛深いオーグル」ではあるものの、彼らは2つの性格を持つそうで、一方で「彼らが気に入った家には富と幸運を授ける」けれど、そうでなければ「悪意があって作物や森林地に危害を与える」のだそうです。

しかし「もし太陽に照らされると彼らは石に変わってしまう」という弱点も持っており「夕暮れと夜明けの間にしか現れない」という特徴があったとされています。

可愛らしい石の妖精として描かれた『アナ雪』のトロール

Troll02

前述の『世界の怪物・神獣辞典』によると、北欧以外の地域に伝わるトロールはもっと小さく、しばしば小人として描かれる場合もあるのだそうです。

『アナと雪の女王』に出てくるトロールは、小さくて丸っこい、可愛い生物として描かれていますよね。しかも「恋愛のスペシャリスト」という設定もあります。

各地で各時代にさまざまな物語が生まれ、その過程でトロールもいろんな姿・性格で描かれて変化していったということなのでしょう。

トロールについてもう少し知りたい方は・・・

トロールについてもう少し詳しく知りたい方は、2012年に日本で公開された映画『トロールハンター』がオススメです(iTunesやAmazonで購入・レンタルが可能)。あらすじを引用します。

ノルウェー・ヴォルダ大学の学生3名が学校の課題で、地元で問題になっていた熊の密猟事件をドキュメンタリーとして追ったことがきっかけとなり、偶然にも本記録映像の撮影に成功。密猟者を追う中で出会った謎の男、ハンス。夜な夜な森の中に姿を消す彼を尾行すると、そこにはおとぎ話だと思っていたトロールそのものが現れたのである!

引用:Amazon.co.jp: トロール・ハンター(字幕版): オットー・イェスパーセン, グレン・エルランド・トスタード, ヨハンナ・モールク, トーマス・アルフ・ラーセン: Amazonインスタント・ビデオ

2010年にノルウェーで制作されたドキュメンタリー“風”映画で、これがノルウェー国内でヒットした事も合わせて、最近のノルウェーでトロールがどう捉えられていのるか、ほんの少し想像する事が出来ます。

もちろんフィクション作品ですが、巨大なトロールの動きや細かな描写がかなりリアル!

失礼ながら「低予算のB級作品っぽい感じかな」と思いながら観たおかげで、意外なほどの迫力にびっくりしました。

さらに詳しく知りたいという方には、前述の『世界の怪物・神獣辞典』がお勧めです。

他の怪物・神獣に比べてもとても詳細に言及されていますし、各国で違う伝承のされ方も詳しく掲載されていて、とても参考になります。

ノルウェーに伝わる「トロールのいたずら」って?

最後に、ノルウェーに伝わる「トロールのいたずら」ということわざをご紹介します。

Wikipediaでは『ノルウェーの人の間では、日常生活でふっと物が無くなった際には「トロールのいたずら」と言われる』と紹介されています。

他にもいくつかのブログでこの「トロールのいたずら」について言及されているので、以前ヒュゲリニュースでもご紹介したことがありました。

ただ、今回記事を書くにあたって、ヒュゲリライターの友人であるノルウェー人に確認したところ『「トロールのいたずら」なんて聞いたことがない』と言われてしまいました(苦笑)。

確認できたのが1名だけだったので、これだけで現地での浸透度を判断することは出来ませんが、みんなが使っている表現ではないのかもしれませんね。

以上、北欧に伝わる怪物トロールのお話でした。

※そういえば、過去には変なトロールの着ぐるみに関するご紹介記事も書きましたよ。

参考:
『世界の怪物・神獣辞典』(297ページ)
Amazon.co.jp: トロール・ハンター(字幕版): オットー・イェスパーセン, グレン・エルランド・トスタード, ヨハンナ・モールク, トーマス・アルフ・ラーセン: Amazonインスタント・ビデオ