ヒュゲリなコラム

芸術作品は誰のもの?スウェーデン最高裁の判決に、あなたは賛成?反対?

先日、スウェーデン最高裁判所の判決で、著作者の許可なしに公共の場に展示されている作品をインターネット上で広めてはならないという判決が下されました。

この裁判で争っていたのは、ウィキメディア・スウェーデン(Wikimedia Sverige)と画像著作権協会(Bildupphovsrätt)の二者。今回の判決では、画像著作権協会側が勝利したことになります。

ウィキメディアは、ウィキペディアの姉妹サイトで、映・画像を通して誰もが自由に情報にアクセスできることを目指す団体、画像著作権協会は、主に絵画や写真の著作者(芸術者)の権利保護を目的に設立されている団体です。

画像著作権協会側は訴えが認められて満足している一方で、ウィキメディアは判決を「時代錯誤だ」と批判。「(それに、)作品を公共の場に置くというのはつまり、人々がその作品に日常的に触れられるようにということを意図していますよね。それならどうして、写真に撮って(インターネット上にあげて)はいけないのでしょうか」

両者の言い分はどちらも間違っていないように思います。公共の場に展示されていても作品には著作権が存在しており、それをむやみにインターネット上で拡散してしまうことは著作権の侵害と言えるのかもしれません。

一方で、ウィキメディア側の批判にもあるように、作品が公共の場に置かれているのなら、作品も公共性を帯びるのではないかと考えることもできます。ウィキメディア側は「判決には、インターネットやデジタル技術の進歩によって世界は変わっているという視点が欠けている」との見解も示していますが、誰もが写真を撮り、加工し、発信することができる現代において、今回の判決は意見が分かれる問題ではないでしょうか。

画像著作権協会も最高裁も、作品を写した画像を個々人がFacebookやInstagramにアップロードすることについては言及していません。今回は、Wikimediaのように一度アップロードされるとその画像が際限なく拡散されてしまう場合について判決を下したということです。

僕は個人的に、北欧はもちろんヨーロッパは全体的に、芸術作品の公共性や開放性が高いと思っていたので、この判決は意外でした。とはいえ、芸術作品の開放性や自由度は、著作者の権利をきちんと保障することから始まるということなのかもしれませんね。みなさんはこの問題についてどう思いますか?

参考:Brottsligt sprida bilder av offentligt konst på nätet | SVT Nyheter

Bildupphovsrätt.se