写真: Collections | Christian Westphal
もくじ
デンマークの「デザイン」を通じて「文化」を知る
新年度で何かと忙しい毎日だと思いますが、毎日ヒュゲリにお過ごしですか?
この「ヒュゲリ」という感覚に限らず、デンマーク文化をなるべく「そのままの形で」お届けしようと毎回記事を書いています。今回の記事では「デザイン」という切り口から、デンマークの文化を少しでも感じ取って頂ければ嬉しいです。
それではデンマーク人デザイナーのChristian Westphal(クリスチャン・ウェストフェール)氏が語った「北欧デザイン」に関するお話まとめ(後編)をお楽しみ下さい!
クリスチャンさんの「デザイナー」としての実績
写真: Nimb
Nimb(ニム)
デンマークのチボリ公園内にあるホテル・レストランなどの複合施設。サービスの質に合ったデザインコンセプトを固め、制服や内装などで統一感を演出。
写真: DSB: Om DSB
DSB(デンマーク国鉄)
デザインコンセプト策定
Opel(ドイツの車メーカー)
車の外装、内装、色 など
その他にも、ファーアクセサリーの製造もされていて「ファッションデザイナー」という枠にとどまらない活躍をされています。
そんなクリスチャンさんのお話を聞いて、お茶会参加者の皆さんから色々な質問があったので、いくつかご紹介いたします。
ーChristian Westphalらしさの背景にあるものは何ですか?
クリスチャン:私はデザインと品質の点で妥協をしたくないんです。そんな「自分らしさ」は、私が育ったクリエイティブな家庭環境のおかげかもしれません。
母方の祖父はちょっと変わった人で「芸術家」であり「牧師」であり「ボクサー」でもありました。そんな彼の生き方や彼と過ごした時間が、私の仕事選びに大きな意味を持っていると思います。
祖父は私が6歳の時に私を美術館に連れて行き、そこにあった全ての絵画について3時間もかけて教えてくれたんです(当時は嫌でしたけどね笑)。その後10〜12歳頃からデザイナーになりたい気持ちが芽生えて、13歳で初めてモードショーを見て、14歳になってからはデザイナーの元でインターンを始めました。自分でデザインを始めたのもその頃ですね。
そんな子供時代を過ごしながら、自分のしていることに対して
- やり続けること
- あきらめないこと
- 情熱を持ち続けること
を学んできました。私にとってファッション業界で成功することはとても大切なことなんです。
ーデンマークデザインってどうして有名になったと思いますか?
クリスチャン:デンマークは天然資源も少ない、北ヨーロッパの小さな国です。そんなデンマークが国際社会で生き延びるためには、自分たちをしっかりと教育し、イノベーティブにならざるを得なかったんだと思います。
また、プロテスタント(キリスト教)の国ということで、控えめな人が多いことも関係していると思います。シンプルかつ機能的というのは、デンマークでは昔からの習慣です。きらびやかで豪華な教会に象徴されるカトリックの国とは反対ですね。
ーデンマークの流行ファッションを見るにはどこがいいですか?
クリスチャン:王道ですが、コペンハーゲンにある「Strøget(ストロイエ)」というショッピングストリートですね。他のデンマークの都市に比べても、色々なバリエーションが楽しめるのはやっぱりここだと思います。芸術に興味があるならオーフス美術館(ARoS Aarhus Kunstmuseum)がオススメですよ。
クリスチャンさんからのメッセージ
クリスチャン:私だけでなく他のデンマーク人デザイナーも日本からたくさんのインスピレーションを受けています。お伝えしてきた通り、日本とデンマークは機能性を重視し、自然に敬意を払っている点でとても似ています。
もちろん日本とデンマークの間で似ていない部分もたくさんあります。ですから、デンマークに来られる前に、少しだけでもよいのでデンマークのことを知ってから来て頂ければ、より有意義な滞在が出来ると思います。もしかしたら日本の皆さんにとってデンマーク人は「すごく内向的」に見えるかもしれません。
今日は楽しい時間を本当にありがとうございました。またコペンハーゲンでお会い出来るのを楽しみにしています!
デンマークについて改めて考える
2時間近く通訳をさせて頂いたので頭がパンクしそうでしたが笑、なんとか無事に終わって一安心でした。2004年からデンマーク語とデンマーク・北欧文化を学び始めて、今では当たり前のようにデンマーク人とデンマーク語で話している僕にとって、お茶会参加者の皆さんから寄せられる質問は懐かしく、またとても新鮮でした。
クリスチャンさんの「デンマーク人達はすごく内向的に見えるかもしれません」という言葉の真意は確認していないのでわからないのですが、もしかしたら「デンマーク人は自立心が高く、他人にあまり干渉しない」という意味なのかもしれません。
デザインも音楽も言葉も、そこにある「文化」の中から生み出されます。デンマークの言葉・文化・歴史を大学で学び、デンマークへの留学もして、現在こうやってデンマーク人のデザイナーやミュージシャン、ジャーナリスト(YouTubeへのリンクなので音が出ます)の方にインタビューをさせて頂くたびに、まだまだ知らないデンマークの魅力を発見しています。
あなたにとってのデンマーク、そして北欧ってどんなイメージですか?