DR(日本で言うNHKのような公共放送局)のニュースサイトの記事の見出しに、”Har man pligt til at forsørge en bolleven?(セックスフレンドを養う義務があるか?)”という記事を発見。いくらデンマークとはいえ、DRがスポーツ新聞のような記事を書くとは何事だろうと思って内容を確認してみました。
画像:Har man pligt til at forsørge en bolleven?
デンマークでは生活保護法が改正され、2014年の1月1日から「結婚はしていないけれど一緒に住んでいるカップルのどちらか」が生活保護(kontanthjælp)を受けている場合、もう一方が生活保護を受けている人を養う義務があります。この法改正で約12,000組のカップルが影響を受けるとされており、そのうち5組のカップルが国を相手に訴訟を起こすようです。
デンマークのユトランド半島の中央に位置するヘアニング(Herning)市で、一人では家賃が支払えないボォさん(男性)は、二人の子どもがいて生活保護を受けているイヴァさん(女性)と家賃をシェアしながら同棲していました。彼らは同じ家に住み、セックスもします。彼らはお互いのことを恋人ではなく「ただのセックスフレンドだ」と主張していましたが、ヘアニング市はこれを「お互いを養う義務があるカップル」と判断。イヴァさんがこのままボォさんと同棲を続けると、7月1日から生活保護の半額を、2015年には全額を失うことになってしまいました。
デンマークで「結婚しないで一緒に生活するカップル」が増えていることを受け、結婚していてもいなくても同じ権利を認めるために法整備を行った結果、今回の事態が起こったとされています。恋人になる前にセックスをしたり、同棲をしたりしながら、真剣な交際に発展するかどうかを見極めることが少なくないデンマーク社会において「お互いを養う義務があるカップル」の定義が未だ曖昧なようです。
今まで認められていた社会福祉への権利が認められなくなってきている所から、デンマークの社会福祉予算が足りなくなってきていることがうかがえます。
参考:
Har man pligt til at forsørge en bolleven?
Advokat om gensidig forsørgerpligt: Det ligner hovsa-lovgivning
Ugifte par vil sagsøge staten for grundlovsbrud