興味深い調査結果です。デンマーク公共放送局DRとスウェーデン公共放送局SVTが、それぞれ18歳以上の成人デンマーク人/スウェーデン人4千人強にインタビューをおこないました。インタビュー内容は、男女差別、男女平等への意識について。
「北欧」でひとくくりにされてしまいがちなスウェーデンとデンマークですが、けっこう明確な違いが出ていますよ。
質問は15項目あり、たとえば「女性の日常において、性差別がどの程度一般的な問題だと思うか」という質問に「非常に」と回答したスウェーデン人は22%でしたが、デンマーク人はそれを大きく下回り4%。「ある程度に」と回答したスウェーデン人は43%で、デンマーク人は29%。「それほどでもない」と回答したスウェーデン人は18%で、デンマーク人は36%。「まったく」と答えたスウェーデン人は5%で、デンマーク人は10%でした。
程度の差こそあれ、スウェーデン人の半数以上が性差別に対して問題意識を持っている一方、デンマーク人はその反対の傾向を持っていることがわかります。
また、「自身をどの程度フェミニストだと思いますか」という質問に、「高い割合で」と答えたデンマーク人は5%でしたが、スウェーデン人は18%。「ある程度」と回答したデンマーク人は22%で、スウェーデン人は34%。この数値だけをとれば、スウェーデン人の半数以上はフェミニズムに一定の共感を持っているんですね。
しかし一方、「まったくそうではない」と回答した人も少なからずおり、スウェーデン人21%、デンマーク人38%でした。
「女性の賃金が男性に比べて低いのは不公平だ」という項目に「賛成」としたスウェーデン人は77%で、デンマーク人の56%を大きく上回ります。「ある程度賛成」としたスウェーデン人は11%で、デンマーク人は21%。「あまり賛成しない」「まったく賛成しない」と回答した割合は、両国ほとんど変わらず5%以下ずつとなりました。
Hen(Han(彼)・Hon(彼女)の中間を意味する新しい代名詞)について、「私たちはデンマーク/スウェーデンよりもhenという単語を使うべきだ」という項目もありましたが、この意見にはほとんど賛同はなく、2%程度ずつの少数のデンマーク人が「賛成」「ある程度賛成」と回答し、スウェーデン人でも同様の肯定的な反応を示した人の割合は7%程度ずつにとどまりました。70%のデンマーク人、61%のスウェーデン人が「まったく賛成しない」と回答しています。
ほかにも「伝統的に女性的な職業(教師や保育士、看護師など)の賃金が他の職業に比べて低いのは問題だ」という項目に「賛成」としたスウェーデン人は63%、デンマーク人は40%でした。
コペンハーゲン大学のジェンダー研究者ヒルダ・ロマァ・クリステンセン(Hilda Rømer Christensen)は「スウェーデンではフェミニズムや性の平等について大衆の同意が得られており、フェミニズムにおいて重要な論題に対してすべての政党が責任を持っている。一方でデンマークにおけるフェミニズムは、政治的左翼ブロックと右翼ブロックのたたかいの一部という位置づけだ」と述べています。
デンマークよりもスウェーデンのほうが男女同権意識・フェミニズムが国全体に根付いているということでしょうか。
ところで、世界各国の男女平等の度合いを示すわかりやすい指標として、世界経済フォーラムが毎年発表する世界男女格差指数(Gender Gap Index)がありますが、今年2015年はスウェーデンが4位、デンマークが14位でした。
ちなみに1位はアイスランド、2位はノルウェー、3位にフィンランドと続き、北欧勢は依然高い順位についています。
街角で突然「あなたはフェミニストですか?」なんて質問されたら、あなたは何と答えますか?
参考:
Så skiljer sig dansk och svensk syn på jämställdhet – Nyheter | SVT.se
Gender Gap Index 2015