ノーベル文学賞の候補として名前が毎年挙がっている日本人作家といえば村上春樹さんですね。
日本国内だけでなく、世界中でも人気がありますが、ノルウェーも例外ではありません。そして、つい先日、村上春樹作品の舞台が上演されました。
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村上春樹の世界をノルウェー語で
村上春樹作品で初のノルウェー語による舞台化が決まったのは『海辺のカフカ』です。
脚本は、2008年にシカゴのステッペンウルフシアターで初公演されたフランク・ギャラティのもの。
先日2月16日に初演を迎え、2月・3月の公演分のチケットはすでに売り切れています。
(画像:Det Norske Teatret)
この公演が行われるのは、ノルウェー劇場(デ・ノシュケ・テアトレ、Det Norske Teatret)という劇場で、オスロ内では少し特殊なことで有名です。
なにが特殊かというと、この劇場はすべてニーノシュク(Nynorsk)が使用されています。
ニーノシュクって何だろう?
ノルウェー語の書き言葉には、ブークモール(Bokmål)とニーノシュクの2種類あることを皆さんはご存じでしょうか?
ブークモールは「本の言葉」、ニーノシュクは「新ノルウェー語」という意味です。歴史的にデンマークに支配されていたノルウェーでは、デンマーク語が支配者の言葉として使用されていました。ブークモールは、デンマーク語をノルウェー語の発音に合わせて変化していった言葉です。
一方、ニーノシュクは19世紀の高揚するナショナルロマン主義と国民運動のもと、諸地域の方言を体系化して作られました。ノルウェー劇場は、ブークモールが主に使われている首都オスロにおいて、ニーノシュクを広めるために建てられました。
ノルウェーでは、どちらか一方の言葉で教育を受けますが、成人ノルウェー人であれば、どちらの言葉もだいたいは理解できるようです。
余談ですが、ノルウェーに住む日本人が集まるフェイスブックグループには、「舞台に使用する日本語の古新聞を寄付してもらえないか」と劇場から問い合わせがあったそうです。
参考:KAFKA PÅ STRANDA av Haruki Murakami | Det Norske Teatret