もくじ
「デンマーク語」という点がいよいよ線に
2011年10月5日にスティーブ・ジョブズが亡くなってから一年。僕が初めてApple製品を買ったのはデンマーク留学に行く前の2006年。
デンマーク語が何に使えるのかなんて全くわからない中で、それでも今日まで学び続けてきたおかげで、大好きなスティーブ・ジョブズの一周忌が僕の人生で「忘れられない特別な一日」になりました。
Image from: アップル(スティーブ・ジョブズ追悼ビデオより)
You can’t connect the dots looking forward; you can only connect them looking backwards. So you have to trust that the dots will somehow connect in your future. – Steve Jobs
(未来に先回りして点と点をつなげることはできない。できるのは過去を振り返って点を線につなげることだけなんだ。だから点と点がいつか何らかの形でつながると信じなければならない。- スティーブ・ジョブズ)
先週金曜日のティム・クリステンセン&ザ・ダム・クリスタルズのライブの後から、いまだに興奮しております。3連休はヒュゲリに過ごされましたか?
ティム・クリステンセンへの単独インタビュー
10月5日(金)大阪・心斎橋somaのライブ前にTim Christensen(ティム・クリステンセン)さんに単独でデンマーク語インタビューを行ってきました!
ティムさんをご存知でない場合はぜひ前回記事「まだ間に合う!北欧好きなら必ず知っておきたいデンマーク人アーティスト初来日!」を併せてお読み下さい
デンマークの旗を掲げてビデオカメラのセッティングしていると、ツアーマネージャーの女性に連れられてリラックスした様子のティムさんが登場。
「まずは北欧ヒュゲリニュースのことをティムに伝えてくれる?それにしても日本人でデンマーク語を話せるなんて珍しいわね。なんであなたがデンマーク語を話せるのかも少し教えてくれるかしら?」
ツアーマネージャーにそう声をかけられつつ、ティムさんの横でドキドキしながらインタビューがスタート。
北欧ヒュゲリニュースのことや、なぜデンマーク語が話せるのかをお伝えすると「面白いね」と、優しくあいづちをしてくれました。
ティム・クリステンセンさんへのインタビュー動画
(インタビュー動画[13分36秒]をご覧下さい)
インタビュー書き起こし
ー僕がティムさんの歌を初めて聴いたのはデンマークに留学した時でした。ディジー・ミズ・リジーのこともその時に知ったのですが、北欧ヒュゲリニュースの読者の中には、ティムさんのことを存じ上げない方もいるかもしれません。そこでまず自己紹介をお願いしてもよろしいでしょうか?
ティム:初めまして、ティム・クリステンセンです。デンマーク出身のミュージシャンで、18〜19歳の頃からCDのレコーディングやライブを行なってきました。最初はディジー・ミズ・リジーとして活動し、数年後にバンドは解散。その後ソロのアーティストとして2000年から活動し、去年の11月にソロとして4枚目のアルバムを、今回一緒に日本に来ているバンドとリリースしました。
ーデンマークと日本にたくさんのファンがいますが、この2カ国に何か共通点があると思われますか?
ティム:そうですね。実際、共通点はあると思います。デンマークと日本の文化は確かに全然違いますが、音楽はその違いを越えて人々を結びつけてくれます。私の音楽はとてもメロディックで、日本のみんなもその独特のメロディーを好きになってくれている。他の言い方で説明するのが難しいのですが、多くの日本人は英語があまり得意じゃないので、歌詞ではなくてメロディーが私達をつなげてくれているのだと思います。
ーそれでは次に最新のアルバム「Tim Christensen and the Damn Crystals」について、お話を聞かせて下さい。
ティム:このアルバムも「ティム・クリステンセン」のアルバムではあるのですが、今までとは少し違っていて、「ザ・ダム・クリスタルズ」というバンドとスタジオで初めて一緒にレコーディングを行いました。彼らにはアルバムを創りあげるプロセスにも参加してもらったので、よりバンドらしい仕上がりになっています。
今までのソロアルバムは自分で楽器を全て弾いて、作品の全てをコントロールしてきました。でも今回のアルバムでは、他の人と協力して創りたいなと思って取り組んできました。最高にいいメンバーと、最高に優秀なバンドと一緒に組んで創りあげることができた、そんなアルバムです。
ー「彼らと一緒にレコーディングをするのは楽だった」と書かれているデンマークでのインタビュー記事を読みました。
ティム:本当に楽でしたよ。全てを一人でやることに慣れていたから、他人と一緒に何かを創りあげるのは難しいだろうと思っていました。でもビックリするほど簡単だった。1年経った今だから言えることですが、もちろんうまくいったこともあれば、うまくいかなかったこともありました。でもこれは挑戦すべきことだったし、多くを学ぶことが出来ました。この経験はとても大きな意味を持っています。
ーティムさんは新しいことに挑戦するのがお好きとのことですが、来日前に行われた「グリーンランドでの初コンサート」という挑戦はいかがでしたか?
ティム:大成功でしたよ。今までメンバーの誰もグリーンランドに行ったことはありませんでした。デンマークとグリーンランドは、結びつきが強い特別な関係の国なので、とても興味深かったです。グリーンランド人はみんなデンマーク語を話しますし、デンマークの音楽も聞いてくれています。
ディジー・ミズ・リジーの頃の歌も、私がソロになってからの歌も知ってくれていました。実際ディジーの頃から考えたら18〜19年越しにようやくグリーンランドで初ライブを行えたことは、本当に貴重な経験ですね。
ーさて、他にもファンの方から「ぜひティムさんに聞いて欲しい」というご質問を頂いているのでご紹介いたします。まずは「ティムさんはデンマークや他の北欧諸国の歌もたくさん聴いていらっしゃると思いますが、おすすめのアーティストを教えて下さい」
ティム:北欧出身のおすすめアーティストですか?たくさんいますよ。北欧には本当にたくさんのいいバンドがいると思います。ただ本音を言うと、そのほとんどはスウェーデン出身のバンドですね。70年代はもちろんABBA。80年代はRoxetteとEurope。ノルウェーのA-haもいいですね。
デンマークは世界的に成功を収めるバンドという点では、他の北欧の国に少し押され気味だと思います。私のお気に入りのバンドは、日本でも人気があったCardigans。最近ではThe Hivesがいいですね。デンマーク国内でもインディーズの音楽は面白いものが多いですが、少し閉鎖的というか、広く外に向かって発信されていません。
それでも音楽好きの人たちは、自分たちで調べていいバンドを見つけています。Efterklangはデンマーク出身のとても良いバンドですね。FigurinesやRaveonettes、Mewもいいですよ。本当にたくさんいいアーティストがいます。
ーなるほど。さて、次の質問は少し典型的な質問なのですが「日本で何か面白いことを経験したことがありますか?」日本の印象はいかがでしょう?
ティム:私にとっては5回目の来日なので、少しずつ日本のことがわかってきている気がします。それでも来日する度に、日本独特の文化には驚かされます。
ザ・ダム・クリスタルズのみんなは日本が初めてだから、彼らのリアクションを見ていると面白いですね。日本人の公共の場での互いに敬意を持った振舞いや、お辞儀、笑顔、感謝の心、尊敬の念、礼儀正しさ。学べることがたくさんあると思います。
家に帰ってもみんな礼儀正しいのかはわからないけど笑、とにかくお互いを尊重しあっているところが日本人の良い所ですし、そんな所が私も好きです。
それと、気候もいいですね。私が日本に来るときはいつも暖かくてとても気持ちがいい。色とりどりの自然や、街中がとてもカラフルなのもいいですね。大阪の商店街を歩いていると、色んなお店がありますよね。活気があって面白いです。日本の印象と言われれば、そんな感じですね。
ーそれでは最後に、日本のファンにメッセージをお願いします。
ティム:日本のファンの皆さんのためにライブが出来ることを、本当に楽しみにしています。また、個人的にもこうやってまた日本に戻ってこられたことを本当に嬉しく思います。これからたくさんツアーで来日出来るよう願っています。いつも応援してくれて本当にありがとう!
無事にインタビューを終え、ライブ会場へ
Image from: Brandalarm Reunion 2006 Photos from Dizzy Mizz Lizzy (Dizzy Mizz Lizzy) on Myspace
インタビュー後は放心状態で、自分が何を話していたのか忘れてしまっていました笑
夢と現実の区別がつかない感じで、ティムさんとお話できた余韻にひたりながらライブのある大阪・心斎橋somaへ。
ライブは開始してすぐから大興奮!あっという間に時間が過ぎていきました。前回の記事でご紹介した”Silverflame”の演奏で体中に鳥肌がたち、”Happy Ever After”からの”Surprise Me”ではテンションが上がりにあがって、アンコールでまさかの”Right Next To The Right One”といった感じで、興奮しっぱなしでした。
もともと予定されていたのかもしれませんが、「インタビューの時にティムさん本人に”Right Next To The Right One”をリクエストしたから、歌って下さったのかな?」なんて思いながら、とにかくライブ中は感動で体が震えていました。
ティムさんもインタビュー内でおっしゃっていましたが、やっぱり音楽の力ってすごいです!
今後もデンマーク語でしか得られない情報をお届けします
改めまして、今回のインタビュー前に質問やコメントを下さったファンの皆様、ご協力頂き本当にありがとうございました。
ティムさんがまたツアーで来日して下さるように、デンマーク国内からの情報を仕入れて、ティムさんの日本でのプロモーション活動をこれからも応援させて頂こうと思います。
また、もし他のデンマーク・北欧のアーティストで「日本語情報が少ないので、現地からの情報を発信して欲しい!」といったご要望などございましたら、お気軽にお知らせ下さい。
デンマーク語という「点」だった知識が、ティムさんとの出会いによって「線」となりました。これからもっとデンマーク語を活かして、多くの線を描きます!