みなさん、「えほんのたね」というプロジェクトをご存知でしょうか?「えほんのたね」とはデンマークで設立されたNPO法人Japanordicが運営するプロジェクトの一つで、デンマークに住む日本の子ども達が“絵本を通じて母国語に触れる”ための環境を作る活動です。
今回、私たち北欧ヒュゲリニュース編集部では、そんなヒュゲリな活動を行っているJapanordicさんにお話をお伺いすることができたので、その一部をご紹介したいと思います。ちょっとした思いやりで参加ができ、日本と北欧をつなげるこのプロジェクトに、みなさんも参加してみませんか?
Japanordic・「えほんのたね」プロジェクトとは?
-早速ですが、「えほんのたね」プロジェクトを運営するJapanordicは、誰が主体になって、どういった想いで運営されているのでしょうか?
想いとしては、スカンジナビア諸国と日本の架け橋になることを目標に、文化や経済分野における相互理解や交流を促進し,情報提供を行うこと、例えば、父親がデンマーク人で母親が日本人というような二つの文化をルーツに持つ次世代の子どもたちの育成を考える活動などを、プロジェクトを通してそれぞれ進めています。
-なるほど。では、そんなJapanordicが「えほんのたね」プロジェクトをはじめたきっかけは何だったんでしょう?
ただ、そのためには日本語の絵本を置いておける場所の確保が必要でしたし、場所によっては、本を読むことのできる子ども達が制限されてしまうこともあるだろうな、ということが心配でした。
-子どもの頃に読んだ絵本は、大切な思い出の一つになりますもんね。では、心配されていた場所の確保などの問題はどうしていったんですか?
そこで、まずはコペンハーゲンに住む一市民として、日本語の児童書も他の言語と同じように図書館で借りることはできないのか、司書の方に聞いてみました。しかし、日本語書籍の需要性を考えると、残念ながら取り扱う予定はないとのこと…。
図書館で出来ないのであれば、「私たち自身で日本語の絵本を募って図書館に寄贈できないだろうか」、そういった気持ちが芽生えたのが、私たちの「えほんのたね」プロジェクトの始まりでした。
もし、日本語絵本の寄贈が可能であれば、子ども達はどこに住んでいようと、図書館のネットワークを通して自由に本を借りて読むことができます。でも、ただ単に日本語絵本を図書館に寄贈するということだけではこのプロジェクトは成り立ちませんでした。寄贈絵本は、図書館に登録される本となるので、デンマーク語で目録を作成することも必要になるからです。
そこから、図書館の児童書担当者の方とも何度も話し合いを重ね、そうした日本語からデンマーク語への目録を作成する役割もこのプロジェクトで進めていくことになったのです。そして、絵本を集める方法としては、できれば私たちJapanordicのコンセプトに基づいた何か楽しくわくわくする方法で、このプロジェクトが日本とデンマークをつなぐ一つのきっかけにならないだろうかと考えました。
例えば、デンマークに寄贈する絵本は、デンマークに住む日本人だけではなく、日本に暮らす皆さんの心の中に今でも残っている思い出の絵本、もしくはデンマークで育つ子ども達にもぜひ読んでもらいたい絵本など、皆さんの思いのつまった絵本をで贈ることはできないかと考えたんです。
もしいつか、日本から本を送ってくださった方たちがデンマークへ遊びに来るようなことがあったら、図書館でその絵本たちに再び出会える機会もあるかもしれないと、絵本には寄贈者の方のお名前を書いてもらったり。
そして、そのような皆さんの思いが“たね”となって、こちらに育つ子どもたちの心にまかれたら、もしくは、その思いがデンマークと日本をつなぐ未来の“たね”となったら、大きな花が咲くのではないか・・・そういう思いでプロジェクトの名前を“えほんのたね”と名づけたんです。
(後編に続く…)
さて、次回後編では、この「えほんのたね」プロジェクトの今後の目標をお伺いしていこうと思います!
[Information]
○NPO法人Japanordic:Webサイト
・えほんのたね:Webサイト
※「たね日記」では、えほんのたねプロジェクトの近況をお知らせしていますので合わせてご覧ください。