画像:Mads Tolling Official Website | Grammy Award-Winning Violinist | Mads Tolling Quartet | Turtle Island Quartet.
こんにちは!U.S.ゲストライターのNorieです。2007年からカリフォルニア州に住んでいます。今回、主にアメリカとデンマークで活躍するグラミー賞受賞ヴァイオリニストのマッズ・トーリング(MADS TOLLING)さんにインタビューしました。場所は、ジャズ好きで知られているとある有名小説家も日本から訪問すると言われるオークランドにあるレコードショップ、グルーヴヤード(Groove Yard)です。マッズさんはとても気さくな方で、たくさん話してくれました。
それでは前後編、お楽しみください。
もくじ
グラミーミュージシャン、マッズ・トーリングとは?
1.自己紹介をお願いします。
マッズ・トーリングです。デンマーク出身で、そこで生まれ育ちました。デンマークには20才頃まで住み、子供の頃は主にスズキ・メソード(1946年に鈴木慎一先生により確立された母語教育法で、母語と同じように小さい時から音楽に触れ、自然に楽器に親しむ方法)で、クラシック音楽を学び始めました。やがて16才頃からはジャズ中心にフォーカスし、次第に本気で即興演奏にのめり込み、少し珍しいですがヴァイオリンでの即興をはじめるようになりました。
その後、コペンハーゲンの音楽高校を経てボストンのバークリー音楽大学へ入学し、3年間学び、学士号を取得しました。ちょうど大学卒業の少し前に、フランス人ヴァイオリニストのジャン=リュック・ポンティ(ヨーロッパのジャズヴァイオリニストとしては、最も卓越した、かつ影響力の強い人物のひとりと言われる)から推薦をうけて、スタンリー・クラーク(グラミー賞受賞の世界的に有名なアメリカ人大御所ベースプレーヤー) バンドにはいりました。
2〜3ヶ月いたロサンゼルスのモンク・インスティチュートでは、ハービー・ハンコック、ウェイン・ショーター、テレンス・ブランチャードのようなすばらしいミュージシャン達に出会いさらにコンテンポラリージャズにのめり込んでいきました。
その後サンフランシスコに戻り、2003年から2年前(2012年)まではタートル・アイランド・カルテット(チェロ、ヴァイオリン、ビオラの弦楽器のみで構成された4人組のグループ)に加わりました。またそれと同時期にスタンリーとハードなツアーを始め、1年の半分はヨーロッパや南アメリカ、オーストラリア、南アフリカなどで海外ツアーを行いました。こちらは、2010年まで共演しています。
この2〜3年は様々なシンガー達と、あなたも見たような(筆者はインタビューの1週間前にシンガーとのコラボレーションライブにいってきました。)新しいコラボレーションをすることにフォーカスしています。ピアニストや、異なるパーカッショニスト達とのコラボレーションもやりました。シンフォニーオーケストラのために作曲もする予定です。オークランド・イーストベイ・シンフォニーへの作曲もしますし、モダンクラシック音楽のデルソル・ストリング・カルテットにも曲を1つ作曲しました。サンノゼにある“ナインティーン”というヴァイオリンのビッグバンドへも作曲し、昨年私の曲を演奏しました。以前は時間がなくて出来なかったコラボレーションや異なるプロジェクトをする機会が本当に増えました。
私が一員となっていた、タートル・アイランド・カルテットは言うまでもなく本当に素晴らしいグループで、グラミー賞も複数回受賞しましたし、素晴らしい重要なコンセプトをたくさん学びました。たくさんの異なるスタイルをジャズ、フィドル音楽、ラテン音楽はもちろん、世界中の音楽に統合する事を学びました。
北欧流の子育てと音楽
2.ヴァイオリンを初めたきっかけを教えてください。
3.デンマークではヴァイオリンは子供達に人気のある習い事ですか?
そうですね、ここ13年はデンマークには住んでいないので、最新動向はあまり知らないのですが、人気があると思います。私の感覚からすると、楽器を学ぶ事自体が人気です。なぜなら、デンマークの人々は他の言語を学びマスターする事、クリエイティブである事、耳を使う事などの重要性を知っているからです。だから、大半の子供達は(楽器を)習いますね。
それに皆がジャズやクラシック音楽についての知識を持っています。クラシック音楽では、デンマークにはカール・ニールセン(デンマークでの最も有名な作曲家、また北欧の重要な交響曲作家として知られる)をはじめとした素晴らしい音楽家がいますし、ジャズもまた人気があります。もしデンマークに行ったら、たくさんのジャズクラブがあるのがわかると思います。
ジャズは生涯追求するもの
4.タートル・アイランド・カルテットのメンバーの一員の時、グループが2006年と2008年に「4+Four」と「A love Supreme: The Legacy of John Coltrane」で「ベスト・クラシカル・クロスオーバー・アルバム」部門でグラミー賞を受賞されました。振り返って、どの時点で最初にジャズヴァイオリンを演奏する事に興味がわきましたか?
そうですね、ジャズはただ単に行うものではなく、生涯追求するものです。私の追求は14才の頃にタイで始まりました。子供の時、私達は両親と7ヶ月かけて世界中を旅しました。両親は私達を旅に連れて行き、どのように他の人たちが暮らしているのかを見せたかったのだと思います。工業先進国ではなく、主に発展途上国です。だからタイに行き、父がマイルス・デイヴィスを録音したブートレグテープをくれました。それが、最初にジャズを聞いた経験で、すごく興味を惹かれて、サウンドにはまりました。
その後、フランス人ジャズヴァイオリニストのステファン・グラッペリと現在98才のデンマーク人ジャズヴァイオリニストのスヴェン・アスムッセンを聞き始め、自分のヴァイオリンでもジャズを演奏できるのだと気がつきました。
(ジャズを生涯追求する)主な理由は、私自身ジャズの音色、自由が大好きだからです。室内楽のセッティングもとても好きですね。ステージ上で、小さいグループ内で楽に自由にコミュニケーション出来る。だから私にとってはそこからどうやって生計をたてるか、どうやって、観客一人一人にメッセージを伝えるかを考えています。自己満足に弾くのではなく、観客の目の前で演奏している事を意識して、確実に連帯する事が大事ですね。これらの事にインスパイアされてジャズを演奏し続けています。
画像:マッズ・トーリングカルテット
いかがでしたでしょうか?後編の記事ではマッズさんの好きなデンマークとスカンジナビアのミュージシャンや、日本で共演したいミュージシャンを話してくれます。
デンマークでは知らない人はいない、フォークソングについても語ってくれますよ。
お楽しみに!!