デンマークにも「グリーンカード(アメリカ永住権の俗称。移民ビザ)」があるのをご存じですか。EU以外の国から高等教育を受けた外国人労働者を迎え入れるために2008年に導入されたのですが、この制度がうまく機能していないことが大きな問題になっています。
画像:Kloge udlændinge gør rent i Danmark
2013年には2,193件のグリーンカードが交付されました。エンジニアリングから哲学まで、幅広い分野で修士号、博士号を持つ外国人がグリーンカードを手にデンマークに移住してきたものの、それぞれの専門分野では仕事が見つからず、清掃員やホテルでの皿洗い、キオスクの店員などの仕事しか得られない状況になっています。
グリーンカード保持者の8割が高等教育の必要のない単純労働を強いられていて、4人に1人は時給1,200円にも満たない仕事についています(なかには時給換算で320円ほどになる場合もあるよう※)。あまりにひどい労働環境に耐えかねたパキスタン人のサエドさんが労働組合にかけあった所、その事実を知ったパキスタン人の雇用者から殺人予告を受けるという事態まで起こってしまいました。
海外からの労働力確保が必要なデンマークですが、現在のグリーンカード制度を続けることは、デンマークにとっても、労働者にとっても望ましい結果を生みそうにありません。デンマークに住む外国籍の友人から「仕事自体は英語でOKでも、デンマーク語が出来るかどうかが”壁”になる」という話もよく聞きます。デンマークが労働力確保のためにどのような動きを取るのか、今後に注目したいと思います。
※6/23 少しだけ加筆しました
参考:
Kloge udlændinge gør rent i Danmark – dr.dk/Nyheder/Ligetil
FAKTA Sådan får man et greencard | Nyheder | DR
Højtuddannede udlændinge arbejder i Danmark for 16 kroner i timen | Nyheder | DR