こんにちは。先日、スウェーデン大手の新聞ダーゲンス・ニューヘーテル紙(Dagens Nyheter、以下DN紙)で見つけた興味深い記事をご紹介します。
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記事によると、スウェーデンでは6月~8月のバカンスの時期に、慢性的な医療従事者不足がピークに達するということ。
そこで、いくつかの自治体はその解決策として、夏期に休暇をとらずに(あるいは休暇の時期をずらして)働く看護師には特別ボーナスを支給することに決めました。ところが、その金額がすごいのです。
記事に取り上げられた自治体の特別ボーナスの相場は、週当たり10,000~15,000クローナ(14万~21万円)。そして最高額はなんと、週当たり20000クローナ(28万円)!!これらが通常のお給料とは別に支給されます。
もちろん、自治体の責任者たちもこの非経済的な解決策には頭を痛めているようですが、他の解決策を試してきたものの良い結果は得られなかったためやむを得ず、とのこと。
今年3月にも、全国1140ヶ所での看護師不足による医療機関の閉鎖について、同紙で取り上げられたばかりです。
長く暗い冬を持つスウェーデンでは、夏の太陽を存分に浴びて楽しむバカンスはお金に換えがたい価値のあるもの。みんながバカンスを楽しんでいる間に、自分は病院で過ごしきり・・・というのはさびしい話のようにも感じます。
一方で、看護師不足によって困っている人々が大勢いることも事実。
日本では、スウェーデンをはじめとする北欧諸国の有給休暇の消化率や育児休暇の取得率の高さが注目されることが多く、憧れや目標のモデルとして取り上げられてきたのではないでしょうか。
もちろん、働きすぎや男女の育児参加に対する不平等は日本が抱える大きな問題でしょう。しかしその問題の改善は、今回ご紹介した記事が一例を示すように、今の日本が持つ24時間どこでも便利で安心な体制と引き換えになりうることを忘れてはいけません。
日本でも医療従事者不足が叫ばれて久しく、高齢社会化がますます進んで経済、労働者人口面共に新たな問題に直面していく中で、私たちは一体どんな社会を望んでいるのか、一人ひとりが真剣に考えなくてはいけないと思います。
※なお、DN紙の記事はスウェーデンラジオ(Sveriges Radio)で取り上げられた内容をもとにしたものです。
参考:
Sjuksköterskebristen hotar säkerheten i vården – DN.SE
Sommarjobbande sköterskor kan få 24.000 kronor mer i veckan – DN.SE
Sjuksköterskor erbjuds tiotusentals kronor extra – i veckan – Nyheter (Ekot) | Sveriges Radio
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