みなさんこんにちは!スウェーデンよりkentaがお届けします。スウェーデン留学便第3弾は少しまじめに「政治」のお話を。
先月9月14日、スウェーデンでは4年に1度の総選挙がおこなわれました。今回も投票率が85.8%になったように、北欧諸国では国民の政治参加の意欲が高いことでも有名で、選挙前の1、2週間はテレビでも各政党の趣向を凝らしたCMが多く流され、毎日のように政治討論を放映していました。
投票を週末に控えた8日には、各政党に所属する地方議員が学校にやってきて討論や生徒との質疑応答をおこないました。その様子がこちらです。
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全体での討論、質疑応答を午前中におこない、昼食を挟んで午後には生徒それぞれが興味のある政党や議員と1対1、あるいは1対4程度の非常に近い距離感で話を聞くことのできる時間になりました。もちろん全員とはいきませんが、かなりたくさんの割合の生徒が興味のある政党やトピックを明確にしていて、議員との対話を通して自分の考えを固めていっているなと感じました。これはそのときにもらったパンフレットの一部です。
そして選挙結果です。結果は、スウェーデン社会民主労働党(Sveriges socialdemokratiska arbetareparti)が8年ぶりに第1党に返り咲き。これまで第1党だった穏健党(moderaterna)は第2党となりました。その要因として、国民が社会保障の更なる充実を求めたことが大きいようです。実は、社会保障が充実していて国全体が豊かだといわれるスウェーデンでも、スーパーの入口などで物乞いをしている人をよく見かけます。そういった現状を放っておくわけにはいかないということもあるのかもしれません。
しかし、選挙結果よりも印象的だったのは第3党に躍り出たスウェーデン民主党(Sverigedemokraterna)の存在です。昨年末のスウェーデン国内でのデモを扱った記事でも取り上げられましたが、この政党は現在スウェーデンで深刻な問題である「学力低下」「失業者の増加」をはじめとする諸問題の原因が、年々増える移民にあるとし、移民の拒否および排斥、それにともなって多文化共生の拒否を掲げる異色の政党です。
僕の周りに公然とこの政党を支持する人はおらず(スウェーデン民主党の支持者はしばしば「ナチスだ」と批判されます)、選挙結果を受けて僕の学校の生徒たちの間で抗議集会が企画されたほどでした。しかし、事実として国民の約13%がスウェーデン民主党を支持し、スウェーデン民主党はスウェーデンで第三の党となったのです。また、大陸に近く移民の多いスウェーデン南部では、スウェーデン民主党が20%以上得票した地域もありました。
政権交代とスウェーデン民主党の躍進が大きな目玉となった今回の総選挙。世界で最も幸せな国のひとつだと言われるスウェーデンでも国民は現状に満足しておらず、変化を求めているということが明らかになりました。今後の動向にも注目していこうと思います。
※なお、今回述べた政権交代の要因はそのほんの一部であり、また、スウェーデン民主党に対する学校の様子などはすべて僕の学校の話です。各地域、各学校、そして各個人がそれぞれ、スウェーデンの政治に対して真剣に考えて様々なアクション、リアクションを起こしていることをご理解いただきたいと思います。
参考:
Preliminär – Val 2014
Klassklyftorna hett ämne | Ljungskilenyheter
ANGELÄGET VALEXTRA | Ljungskilenyheter
VALDEBATT PÅ FOLKHÖGSKOLAN | Ljungskilenyheter