ホームレス自立支援雑誌のビッグイシューについては、みなさんご存知かと思います。元々ロンドン生まれの雑誌で、日本で創刊されたのは2003年。この雑誌を街中で売ることによってホームレスは売上の一部を自らの収入にすることができ、その資金で自立に向けた一歩を踏み出してもらう、というような仕組みになっています。
スウェーデンの第二の都市・ヨーテボリにも、似たような雑誌でFaktumというものがあります。
「Faktumにもっと関心を持ってほしい」
「ホームレスの現状を知ってほしい」
「支援の手を差し伸べてほしい」
そんな気持ちから、Faktumとスウェーデンの広告エージェンシーForsman & Bodenforsは、一風変わった企画を立ち上げました。その名も「Faktum Hotels」。さて、これはどんなホテルなのでしょうか?
このホテルの所在地は、Faktumが販売されているヨーテボリ。この街には3400人近くのホームレスがいるそうで、自分の家を持てない彼らは、友人の家や保護施設で寝泊りしたり、ありとあらゆる場所に寝所を作って野宿をするなどして日々過ごしています。実は、そんなホームレスの「寝所」を売りにしているのが、この「Faktum Hotels」なんです。
厳選された10箇所の寝所は、例えばこんなところ:
もうお気づきの方もいるかと思いますが、これは実際に「ホームレスの寝所で宿泊体験をしよう!」という企画ではありません。(私は途中まで騙されてしまいましたが…)
1泊の料金が100クローネ(約1300円)に設定されていますが、この金額はホームレス自立支援のための寄付金に当てられることになります。最長で1年(!)の宿泊プランも用意されており、金額は36500クローネ(約50万円)。ホテルを予約するような感覚で寄付ができるというのは面白い試みです。
ちなみに、自分が寄付をしてもいいし、友人・知人・家族に対してfacebookなどのメディアを活用して寄付の呼びかけをすることも可能です。
ホームレスの問題については誰もが多かれ少なかれ関心を抱いていると思います。ただ、実際に何らかの行動を起こした人は少ないのではないでしょうか。
私がストックホルムに住んでいた頃、よく電車の中で雑誌(ストックホルムではSituation STHLMという雑誌名)を売っているホームレスの方を見かけましたが、いつも目を逸らしていました…。
けれども、こうやってFaktum Hotelsを通じてホームレスのリアルな現状を知り、アクション(寄付)を起こしやすい仕組みがわかりやすく且つ遊び心込めて用意されていると、小さな行動かもしれないけど私にも何かできることがあるんじゃないか、と思わされます。
また、Forsman & Bodenforsと同じ広告業界にいる身として、広告会社の使命とは何なのか?ということについても考えさせられます。
恐らくForsman & Bodenfors側にとっては、無償に近い仕事だったんじゃないかなと思いますが、ウェブサイトのデザインやユーザーインターフェース、「寝所」のプロ写真、どれを取ってもクオリティそして完成度が高いので、ぜひサイトにも足を運んでみてください。
こちらがホテルの紹介ビデオ:
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