もくじ
自転車天国、コペンハーゲン
今回は、あまりヒュゲリではない、自転車のルールと罰金について紹介します。
デンマーク首都コペンハーゲンは、ヨーロッパで、アムステルダムと並ぶ「自転車天国」として有名です。
大人や荷物を乗せて移動できるカーゴバイクや、通勤、子供の送り迎えなど、生活に欠かせない乗り物として、コペンハーゲン市民には必需品。
コペンハーゲンを訪れたことがある人は、自転車専用道路を颯爽と走る、こんなシーンを目にしたことがあるでしょう。
信号待ちで、10メートル以上自転車がずらーっと並ぶ朝の通勤ラッシュ。
ハイヒールでオシャレして、自転車で夜遊びに向かう若者。
バリバリのスーツで子ども2人をクリスチャニアバイクに乗せて子供を送り迎えするパパ。
カーゴバイクに乗って、気持ちよさそうに向かい風を浴びているゴールデンレトリバー。
そんな、自由で「ヒュゲリ」を連想させる自転車ですが、実はルールが存在します。
知らないと危ない自転車のルール
・歩道での走行は禁止
・進行方向の反対向きに逆走は禁止
・赤信号での右折は禁止(デンマークは右側通行)
・停止前や、右折・左折の際には、手・腕を使った意思表示のジェスチャーが必須
・日の入り後・日の出前と、視界が悪い時はライトの点灯が必須(前には白、後ろには赤の2ヶ所)
・信号のある交差点での左折の際は、まず通りの反対側に渡り、信号待ち後、望む方向に進む(直接の左折は禁止)
他にも細かいルールはありますが、この基本の6つを知っていれば、コペンハーゲンでの自転車生活はOK。
しかし、同時に自転車事故も多く、デンマーク全体で、年間20,000件もの自転車事故が起きています。
特に右折時の事故が多く、皆が急ぐ朝のラッシュ時に、血を流して倒れている事故を見たこともあります。
もちろん免許は不要なため、ルールを知らなくても自転車は購入でき、乗ることもできますが、自転車専用道路のおかげで、猛スピードで走る自転車も多数。
ルールを守らないと、乗っている本人も周りにもとても危険な自転車。
加えて、ルールを守らないと、危険なだけでなく、高額の罰金が待っています。
黄色のベストに気をつけろ。多額の罰金
罰金を科すのは警察の仕事です。
朝の通勤時間に、冒頭の写真のような、蛍光黄色のオートバイとベストが見えたら注意の印。
日常的に見かけるわけではありませんが、年に何回か集中的に「交通キャンペーン」を行う様子。
知っていて守らないルールのほか、わかりにくいルールも多くあり、思いがけなく罰金を取られる人も。
私もそんな一人です。
去年、娘を保育園に送って行く際、「車両一方通行」の通りを逆走したとして、警察に止められました。
実は、その日は私の誕生日だったのですが、問答無用、容赦なし。
マイナンバーが書いてある保険証の提示を求められ、専用の機械に情報を入力するのにかかるのは、1分足らず。
数日後、デジタルポスト*で罰金支払いの請求書が届き、ネット上で支払いを済ませたのですが、何と、罰金の支払額は1,000クローナ(約17,000円、2020年11月現在)。
自転車も「車両」として扱われるとは思いもしなく、道路表示も壊れていてわかりにくかったのですが、17,000円の痛い出費をもって、このルールを肝に銘じることになりました。
私以外にも同じような体験をした人は少なくなく、9月上旬には、市の中心部のショッピングストリート周辺で、たったの2日間で140件もの罰金が課されました。
歩行者専用であるショッピングストリートを走る罰金は700クローナなので、総額98,000クローナ(約163万円)と、莫大な金額です。
*デンマークでは、市や国、病院からなど、公式の手紙や書類は全てデジタルでやりとりされます。
罰金はいくら?
具体的な罰金額は、以下の通り。
700クローナの罰金(約12,000円)
・日の入り後、日の出前のライトなしでの走行
・ブレーキや反射板の故障
・歩行者専用道路での走行
・自転車専用路での逆走
・停止前、右折・左折時の意思表示サインをしない
・交通標識やサインを守らない
・一人分の座席しかない自転車での2人乗り(両者に罰金)
1,000クローナの罰金(約17,000円)
・赤信号無視
・決められた進行方向との逆走
・走行中の携帯使用(手で持った場合)
1,500クローナの罰金(約25,000円)
・アルコールの影響による危険な走行(警察の判断による)
ルールを守ろう
ヒュゲリな乗り物として知られているコペンハーゲンの自転車ですが、自転車ルールを守らない人には、財布にも厳しいデンマーク。
旅行者で自転車をレンタルする人も多くいますが、ルールを知らずに走っている人も多く、危険です。
ルールを知り、守ることは個人の責任。
コペンハーゲンで自転車に乗る機会があれば、ぜひルールを守ってヒュゲリな時間を過ごしてください。