ヒュゲリなインタビュー

MOVITS!インタビュー後編 〜スウェーデンが抱える社会問題について〜

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さあ、インタビュー記事後編ですよ!お待たせしてすいませんでした!インタビューアーを務めさせていただきました山森です!

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いや、Movits!(モービッツ!)にインタビューできるとかホンマに最高でした!「この上ない幸せ!」と、未だに感情の高ぶりをなかなか抑えられないので、みなさんにもぜひぜひ記事を最後まで読んでいただき、彼らのことをもっと知っていただきたいです。

前編では『Movits!と日本』をテーマとして、彼らの日本に対する印象、日本との関係を語っていただきました。続く後編では『Movits!の音楽性』『Movits!の歌詞に込められた思い』を丸裸にしていきます!彼らの母国語スウェーデン語で語られた生の声を、とくとご堪能下さい!

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もくじ

Movits!の音楽性

 

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―Movits!の音楽性についてお伺いします。Movits!はジャズとヒップホップをミックスした感じで…他に同じようなことをしている人は多くないと思うのですが、どこからインスピレーションを得たのかお聞きしたいです。どういう風に(このスタイルを)見出だしたのでしょうか?

Joakim(ヨアキム):インスピレーションを得たのは、僕たちがこういう音楽を、つまりギターを弾いたりサックスを吹いたりするアコースティックミュージックやアコースティックヒップホップを始める前だね。ある打ち上げパーティーの時に、Benny Goodman(ベニー・グッドマン)のSing Sing Sing(シング・シング・シング)が流れたんだ。スウィングジャズの古い曲なんだけど、それを聞いた途端にみんなその曲に魅了されたんだ。

これが大事件だったね。そこからすべて始まったんだ。そうやって僕らの音楽性は違うタイプの音楽に広がっていったんだ。ヒップホップとミックスしたりね。そんな感じかな。

―3rdアルバムは1st、2ndと比較すると様々な点でかなり違うと思うのですが、今回のアルバム制作にあたってどんな計画をされていたのでしょうか?

Anders(アンデシュ):そうだね、うーん。1stと3rdを比べるとしたら、1stはスウィング曲が中心だったけど、そういう曲が今回のアルバムでは少なくなって、60、70年代ロックのヒッピーの精神であるフラワーパワー(平和の力や非暴力行動)をもう少し取り入れている感じだね。でも、この変化は凄く自然な発展だと感じているよ。同じようなアルバムでは、あまり面白くないからね。

Johan(ヨーハン):そうだな。ライブをやると考えてみるといいね。スウィング15曲ではなくて、スウィング5曲、ヒップホップ5曲、他のジャンル5曲をミックスするんだ。ビートってのはそういうもんだからね。

―んー…

Joakim:そうだな。

Johan:そういうもんだって!

―わかりました(笑)!アルバムのタイトル「Huvudet bland molen(ヒューブデットブランドモールネン・雲の合間の頭)」の意味はなんですか?由来はなんでしょうか?雲の合間の頭って…

(ここでJohanのおちゃめなジェスチャー入りました(笑))

Johan:この曲が扱っているのは…。例えばたくさん音楽がしたいと思ったら、それは…それは窮屈でもやもやしたものの中を彷徨う感じなんだ。家に帰るのが難しくなって家族が恋しくなる。家族や友達と一緒にいることが難しくなる。他のみんなが働いている火曜日、水曜日に家に帰ってきて休日にはまた仕事に行く。雲の合間の頭が意味しているのは、人って、いろいろうまくいかないことが混ざりあった、なんだかもやもやしたものだってことなんだ。家族と友達とそういう感情との間でね。

Joakim:雲の間の頭っていう言葉じゃないんだよ。シンボルなんだ。えーっと…(全員:笑)人の…

Johan:感覚だな。

Joakim:ああ、人が自分の世界にいる感覚だ。

Johan:ハウルの動く城だっけ?あれもちょっと感覚が難しいよね。

 

Movits!から見たスウェーデンの社会問題

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―これまでのMovits!の楽曲にはFel Del av Gården(フェールデールアブゴーデン)やA-kassebluse(アーカッセブルース)などのように社会問題を取り扱った曲が何曲かありますが、今回のアルバムにもそのような要素を持った曲はありますか?私たちも既にアルバムを聞きましたが、スウェーデン語を完璧にできるわけではないので、見つけることができませんでした。

Johan:もちろん!おそらく最も政治的な要素を含んでいるものはWoodstock(ウッドストック)だろうね。

Joakim:たとえばさっき言ったA-kassebluseは非常に限定的で、個人的な問題を取り扱っているけど、Woodstockはもっと大きな概念について歌っているんだ。

Johan:そう。より人道的。人権だね。Motströms(モートストルームス)もかなり政治的な感じだね。でも、かなり面白い感じにもなってるよ。両方だ。新しいアルバムの何曲かは以前のものに比べると非常に個人的なものを題材にしているね。Huvudet bland molnenはまさに個人的なものだし、Lindansen(リンダンセン)もかなり個人的だ。

Joakim:Medströms(メードストルームス)もだね。たぶん、政治的とまでは行かないけど、社会的なコメントと言えばいいかな。

Johan:うん。考えさせられるものだね。でも、俺も君に賛成するよ。今回の曲はA-kassebluseの歌詞ほど簡単に理解できる歌詞じゃないからね。いろいろ混ざってるから。

―もしもう一曲社会問題について曲を書くとしたら、どんな社会問題を扱いたいですか?

Movits!:おー!

Anders:それは難しいな!

Joakim:スウェーデンに関して今自分たちが関心のある問題はあるよ。個人的な意見では、残念だけど、人種差別主義者がだんだん増えてきていることだね。人種差別の傾向が見られる政党も国会に出てきているし。それって、なんか一般的に人種差別が認められている感じに思えてならない。自分としては、それは残念だね。

Johan:他にもいまだに金持ちと貧乏人の差は非常に大きい。そのようなことに関して歌詞を書くときに、時々だけど仮に何か考えがあれば、それを書こうと思うよ。そうじゃなかったら、インターネットや新聞を見るだろうね。また別の機会に思いつくということもある。かなり様々だよ。なにか良い情報はない?

―自分はJoakim(ヨアキム)に賛成ですね。スウェーデン社会、特にスウェーデンのホームレスや難民政策を勉強しているので。

Johan:それも面白いテーマだね。特にEU内でも大きな差があるからね。ある国は難民を受け入れ、他の国は受け入れない。Älvsbyn(エルブスビィン※筆者がスウェーデン留学時に滞在していたところ)のアパートの家賃がどれだけ高いかについて書くのもいいかもな。

―ははは。ありがとうございました。これが最後の質問でした。ありがとうございました。

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以上がインタビュー全文です!楽しんでいただけたでしょうか?

実は私、Movits!の故郷である北スウェーデンのPiteå(ピテオ、Joakimの故郷)とLuleå(ルレオ、Johan、Andersの故郷)に近く、インタビューにも登場したÄlvsbynという地域に留学していたことがあり、留学中には、彼らの野外Liveを見に行ったこともあるんです!

私は学校の寮に住んでいたので、実際にÄlvsbynのアパートの家賃がどれだけ高く、どれだけ社会問題となっているかわかりませんが(笑)、彼らが曲にのせて歌として発信する社会の不条理に対してのメッセージは、人道国家、福祉大国と言われるスウェーデンにおいてさえも、問題は山積しているのだということを気づかせてくれます。

この記事を読んでいただき、その後でまたMovits!の音楽を聴いてもらうと、また何か違った彼らの『味』を感じていただけると思います。彼らの一ファンとして、みなさんに彼らのことをもっと知っていただけたら嬉しい限りです!

 

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