北欧現地ニュース

デンマークの”白いバス”にまつわるちょっと歴史なおはなし

只今コペンハーゲン在住の私は、先日デンマーク国立博物館(Nationalmuseet)へ行ってきました。デンマークの主要な文化史を年代ごとに取り扱った美術館で、デンマークの歴史を学ぶ学習の場としてはもちろん、その貴重なコレクションの豊富さから観光スポットとしても人気です。そして嬉しい事に入場料は無料なんです。そんな国立博物館で現在開催されている期間限定展示の内容がとても興味深かったので、今回はそのおはなしを少々。

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展示名は『ディ ヴィーデ ブッサー(De Hvide Busser/The White Busses)』日本語に訳すと「白いバス」です。なぜ白なのか、なぜバスなのか、日本人の私にはまるでピンときませんでした。しかしデンマーク人にとっては大変大きな意味を持つ存在なのです。

第二次世界大戦期、デンマークはナチス政権下のドイツによって占領され、多くのデンマーク人が突如、ドイツ国内各地にある強制収容所へ強制送還されました。ディ ヴィーデ ブッサーとは、第二次世界大戦末期にスウェーデン赤十字社とデンマーク政府協働で行われた、デンマーク人及びノルウェー人戦争捕虜救出運動で使われた白いバスのことを指し、またそのことからこの運動自体を象徴するものでもあります。彼らは各強制収容所から合計約6,000人もの捕虜たちの救出に成功しました。

展示は17つのセクションに分かれており、強制送還から救出、そしてその後に至るまでを時系列ごとに追っていきます。実際の強制収容所での生活の様子や、赤十字によって送られた救援物資、それから被験者の声や救出活動に参加した看護師ランティアの声など貴重な資料が、趣向を凝らした展示会場の中にあふれています。救出活動に使われたバスのレプリカも展示されていました。

デンマークはじめ、北欧の歴史というとどうしてもヴァイキング運動が目立ちますが、”白バス”による救出運動もデンマークが誇るべき歴史的事実と言えるでしょう。

平和の大切さ、そして命の尊さを伝える印象深い展示であると感じました。

国籍に関係なく、訪れるすべての人にとって意義のある体験ができると思います。こちらの展示は来年の1月まで続くそうなので、この時期にデンマークを訪れる機会のある方には強くお勧めしたいです。

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[Information]
ディ ヴィーデ ブッサー(De Hvide Busser/The White Busses)
場所:デンマーク国立博物館(Nationalmuseet)
住所:Prinsens Palæ Ny Vestergade 10 1471 Copenhagen K
営業時間:火曜日〜日曜日(10:00〜17:00)月曜日他(詳細は公式サイトにてご確認ください
http://natmus.dk/museerne/nationalmuseet/udstillinger/saerudstillinger/de-hvide-busser/