ヒュゲリなコラム

夏こそアート。訪れれば虜の美しき美術館、ルイジアナの魅力

コペンハーゲン中央駅から、シェイクスピアの傑作ハムレットが描かれた舞台ヘルシンオア(Helsingør)行きの電車に乗り、北へ30分。着いた先はフムレベク(Humlebæk)という所。時刻は夕方の5時。「どうしても連れて行きたい場所がある」とコペンハーゲン在住の友人に言われてやってきたその場所は、そこが美術館であるということ以外何も知らなかった私にとって、「本当にこんな所に美術館があるの?」と思ってしまうほど何もなく、ただ同じ緑の景色が永遠に広がっているようなだだっぴろい駅でした。

以前から名前だけは聞いたことのあったルイジアナ近代美術館。正面玄関の前に立つとそこは美術館というより古くて大きな邸宅。実はルイジアナ近代美術館は創設者が1950年代半ばに元来個人の邸宅であった建物を改築してオープンさせたのです。その後も改築を重ね、現在の回遊型美術館となりました。創設者が改装当時から最も大切にしてきたこの美術館のコンセプトは“アートと建築、そして自然との共存”。

窓を大きくして光をたっぷりと取り込めるようにデザインされた回廊、北欧らしい温かみのある木を基調とした館内の造り。館内、敷地内いっぱいに建築家たちのこだわりが伺えますが、その中でも1番の魅力は数々のアート作品が点在する大きな庭。目の前に海が広がる高台からは対岸にスウェーデンが望めます。ルイジアナ近代美術館は、従来の白い箱型の制限された空間としての美術館ではなく、ただただ美しき憩いの場、ヒュゲ(Hygge)の場なのです。

最高のロケーションを目の前に食事を楽しめる館内のレストランもオススメです。ビュッフェ形式のメニューはどれも絶品で、特にメロンのスープが格別でした。

美味しい料理と目の前に広がる海、常時3000点以上ものアート作品に触れることのできるその豊かさと、何か特別な気分にさせてくれる不思議な芸術の空間。訪れればきっと特別な時間が過ごせること間違いありません。

火曜から金曜は11時から22時までオープンしているので、遠方からでも1日中楽しむことができます。特に閉館前は混雑も少なくゆっくりと見て回ることができますよ。例えばいつもと少し違った金曜の夜をこの場所で過ごしてみる、なんて素敵かも?

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画像:【ELLE】エル・デコ8月号|エル・オンライン

そのハイセンスなインテリアや建築デザインでも有名なルイジアナ近代美術館。実はインテリア雑誌エル・デコ(ELLE DÉCOR)の8月号でも豊富な写真とともに紹介されています。気になる方は本屋さんで是非チェックしてみてください。

6月25日から10月25日まで、現在開催されているテーマ展示が『AFRICA』。その名の通りアフリカ大陸の建築、アート、そして文化をフィルターとして、サハラ以南地域の多様性、複雑性について迫る内容となっています。7つのテーマが設定されており、広大な敷地を贅沢にそして画期的に使った素晴らしい展示でした。アフリカって新しい!きっと訪れたあなたはそんな風に思うでしょう。

そしてなんと9月17日から1月24日までは日本が誇る芸術家、草間彌生さんのライフワークにフィーチャーした展示がルイジアナ近代美術館で開催されます。今回の展覧会用に制作された日本国内未発表の新作絵画等の展示もあるそうで、ルイジアナを皮切りに、その後オスロのヘニー・オンスタッド・アートセンター、ストックホルム近代美術館、ヘルシンキ現代美術館にて順次北欧4カ国を巡る展覧会を行う予定とのことです。

1年間のデンマーク留学から先日帰国した私が本気でオススメする美しき美術館です。北欧の自然が最も息づく夏から秋にかけて是非訪れていただきたいです。

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ルイジアナ近代美術館
Louisiana Museum of Modern Art
住所:Gl. Strandvej13 3050 Humlebæk
開館時間:火曜日から金曜日11時から22時 / 土日祝日11時から18時 / 毎週月曜日定休
入館料:大人(18歳以上)115dkk 学生(学生証提示)100dkk 小人無料
公式サイト:http://en.louisiana.dk/visit-louisiana

参考:
【ELLE】エル・デコ8月号|エル・オンライン