ヒュゲリなコラム

映画鑑賞レポート『リリーのすべて』

皆さまこんにちは。アカデミー賞4部門を受賞し話題となった『リリーのすべて』のレンタルが解禁になりましたね。皆さまはもうご覧になられましたか?
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<画像:The Danish Girl | IMDb>

『英国王のスピーチ』や『レ・ミゼラブル』で知られるトム・フーパー監督と、『博士と彼女のセオリー』でアカデミー賞主演男優賞に輝いた新生実力派俳優のエディ・レッドメインの再共演、そしてエディがトランスジェンダーの難役に挑んだことでかなり注目を浴びたこの作品。世界で初めて、男性から女性へと変える性別適合手術を受けた実在のデンマーク人画家リリー・エルベとその妻ゲルダの実話の物語に多くの人が胸を打たれたことでしょう。

【あらすじ】
舞台は1920年代のデンマーク。風景画家のアイナー・ヴェイナーは、妻であり肖像画家のゲルダと共に平和と幸福に満ちた生活を送っていました。ある日、妻に頼まれ女性モデルの代役を務めたことがきっかけで、彼は自分の中にいる“リリー”という女性の存在に気付いていきます。自分の本質と肉体の乖離に戸惑うアイナー、夫が自分の知っている夫でなくなっていくことに混乱するゲルダ。それでも2人は自分らしく生きる事を望む“リリー”を受け入れ、前例のない性別適合手術を受けることを決断します――――

エディが自己の混乱を経て男から女に変わっていく様子は、細かい所作に至るまで研究しつくされており、あまりにナチュラルで「映画」でありながらも、本当に目の前で一人の人間を見ているかのようでした。女に生まれ変わった瞬間のリリーの幸福に満ち足りた表情は忘れられません。

そしてこの映画のもう一つの見どころは、素晴らしいアングルで切り取られた自然豊かな美しいデンマークの街並みです。映画を通してデンマークがどういう国なのか垣間見ることができますよ。美しいデンマークの風景はこの映画の主題でもある美を強調しているかのようでした。

ところで皆さん、映画の原題って気にしたことはありますか?『リリーのすべて』の原題は『THE DANISH GIRL』です。トランスジェンダーのパイオニアとしての彼女の偉大さと、自由で寛容なデンマーク人の国民性が感じられる原題ですね。ちなみに、デンマークは世界で初めて同性カップルのパートナーシップを認めた国でもあるんですよ。

さて、映画を観た人であればゲルダが生涯描き続けたというリリーの肖像画を見てみたいと思うのではないでしょうか?残念ながら既に終了してしまいましたが、近代芸術作品の展示を取り扱うデンマークのアーケン美術館(ARKEN)で、昨年の冬から春にかけてゲルダ・ヴェイナー(GERDA WEGENER)の展覧会が開かれていたそうです。その時のプロモーションビデオの中で、いくつか彼女の作品を見ることができます。

少しでも興味が湧いてきた方は、まずは予告編からどうぞ。

参考:『リリーのすべて』公式HP
Exhibition:’Gerda Wegener’ at ARKEN Museum for Moderne Kunst, Ishøj, denmark | Art Blart