ノルウェー水産物審議会が、「バランス皿」なるものを開発した。
写真の通り、「スマートフォンを手放して初めて完成する、あえて少し不便なお皿」。
スマホを脚として差し込まないと「お皿」が自立しないというユニークなデザインだ。
単純に面白いなと思うとともに、まず思ったのは、「ついにここまで来たか」。
今までも、食事中の携帯・スマホの使用については、様々な論議が交わされてきた。
カバンの中の携帯がなったら取るか取らないか。
マナーモードにするかしないか。
食卓や外食時のテーブルに置くか置かないか。
それが今では、スマホを肌身離さない、食卓にスマホがあるのは当たり前になり、今や議論は、「置いたスマホのスクリーンが上向か下向きか」に変わった。
ここ10年で、自分自身のスマホとの付き合い方にも、大きく変化があった。
初めて会社からiPhoneを支給された10年ほど前は、「もらったから使おうか」ぐらいの気持ちだったが、今ではスマホがないと仕事はおろか、買い物や請求書支払いもできない必需品に。
この状況は、実用の面でもそうだが、精神面でもスマホを手放すのは容易ではない。
ネットフリックスで話題のドキュメンタリー映画「監視資本主義: デジタル社会がもたらす光と影/The social dilemma」でも、AmazonやFacebook、YouTubeなどの大手が、ユーザーが最大限にネット・SNS中毒になる方向でプラットフォーム開発を進めていることが確証され、世界を震撼させた。
私たちが、スマホから片時も離れられないよう、大手企業がお金と時間を費やしているのだ。
個人的には、「スマホは決まった場所に置く」「食事中や子どもと一緒にいるときはスマホはいじらない」など、ルールを決めているが、このようにルール化しないとスマホ断ちできないのが現状。
今回ノルウェー水産物審議会が日本で独自に行った調査(全国の20〜50代男女400人対象)でも、4人中3人(75.5%)が、スマホに気を取られて食事に集中できないという結果が出ている。
そんな状況をユーモラスに捉え、具体化したのが、この「バランス皿」。
そもそもテーブルの上にあったら気が散っちゃうんじゃないかと思うのは筆者だけかもしれないが、スマホがテーブルにあるのが当たり前なら、テーブル上にあるスマホに触れないように、お皿の一部にしてしまえ、というコンセプト。
今までも、タイマー付きの金庫や牢屋に見立てた「ジェイルボックス」など、携帯・スマホを見ない・触らないようにするコンセプトはあったが、スマホをお皿のパーツにしてしまうアイディアは斬新だ。
家具職人がデザインしたという、北欧的ミニマリスティックながらおしゃれなデザインで、高級家具に使われるウォルナット材を使っているという凝りよう。
現時点では世界のどこでも購入できないので、ぜひ試してみたいという人は、Have a breakならぬ「SAB-A-BREAK(サ・バ・ブレイク)」キャンペーンに応募を。
このお皿が、「一家一台」となるかは別としても、スマホダンマリの食卓に会話のタネをもたらすかもしれない。
そして、最も大事なのは、この難しいトピックに光を当て、ディスカッションが始まること。
食卓に笑顔と会話が戻り、スマホに夢中になって食べるのを忘れてしまう人が減りますように。