ヒュゲリなコラム

デンマークにいた僕がノルウェー映画から感じる日本と北欧の違い

トーキョーノーザンライツフェスティバル会場入口

もくじ

トーキョーノーザンライツフェスティバル記事の続き

デンマークだけでなく北欧全般に関してまだまだ僕も勉強中の身ではありますが、前回記事では扱えなかったノルウェー映画「キング・カーリング」のご紹介と、そこから感じた「北欧社会」について今回もまた少し考えてみたいと思います。

自信を持ってオススメできる映画その2

キング・カーリング(ノルウェー)

ノルウェー映画キング・カーリング

<ストーリー>トルルス・パルセン率いるカーリング・チームは強豪だったが、神経質なパルセンはいつしか心を病んでしまい、一線から退くことに。10年後、ようやく病院を退院した彼は、喫煙が元で重病を患った恩師の治療費を稼ぐため、かつての仲間を集めて再び試合に挑もうとする。しかし、その仲間たちもまた、それぞれに問題を抱え人生に行き詰まっていた。彼らは試合に臨めるのか!?

引用元: トーキョーノーザンライツフェスティバル 2013 [2013年2月9日(土)~15日(金)@ユーロスペース]

ノルウェーの可愛い家や、時代遅れな感じのダサいライバル達に加えて、主人公のパルセンを演じるアトレ・アントンセンのキュートなキャラクターがとても印象に残るコメディです。

でもそれだけではない「北欧らしさ」をこの作品からも感じました。

主人公のパルセンは精神病になり、薬漬けの毎日。そこから更生しようと頑張るシーンがこの映画内でいくつか見られます。精神病の人を中心にしてコメディの要素をふんだんに取り入れるというのは、日本では一歩間違えると議論が巻き起こりそうな繊細なテーマな気がするのですが、ノルウェーではそうでもなさそうです。

その理由は『ノルウェーでは精神病の人を「守るべき対象」として見ていない』からなのかなと思いました。同じ北欧のデンマーク社会では、例えば高齢者介護を考える際に「自分で出来ることは自分でやりましょう」という基本的な姿勢が見られます。

日本でも例えば「夢のみずうみ村」というデイサービスセンターでは、この感覚に似た取り組みが見られます。でもまだ「自分で出来ることは自分でやった方がいいですね」というノーマライゼーションの発想は一般的とは呼べない気がしますが、いかがでしょうか。

他にも、少し違った角度ですが『風俗嬢の「社会復帰」は可能か』というテーマを日本で考えようとすると、先入観から「救済しなくてはいけない」「社会復帰せよ」と、ありがちな救済論が出てきてしまうようです。

参考: SYNODOS JOURNAL : セックスワーク・サミット2012・風俗嬢の『社会復帰』は可能か? ―― 風俗嬢の『社会復帰支援』の可能性を考える

いわゆる「普通」の生活を送っていない、送ることが出来ない人達に対して「自分達と同じでないからきっと大変だろう」と考えるのではなく、それぞれの違いを認め合う感覚。そして「出来ることは自分で行い、出来ないことは出来る人が助けてくれる。そうやってお互いを支え合い共に生きていく」という姿勢が、日本よりも北欧諸国には一般的に根付いているのかもしれませんね。

キング・カーリング予告編

ノルウェー語音声で字幕はありませんが、楽しい様子が十分に伝わってきます♪

[youtube value=”1L4Ky2IhOTM”]

トーキョーノーザンライツフェスティバル2013は数々の北欧映画が見られるまたとないチャンスです。お時間があればぜひ足を運んでみて下さいね。

[Information]
◎トーキョーノーザンライツフェスティバル2013
日時:20123年2月9日(土)〜2月15日(金)
場所:ユーロスペース(東京都渋谷区)
チケット:前売り券 1,300円(1回券) / 当日券 1,500円(1回券)
※他の料金体系もございます。詳しくは公式サイトをご確認ください。
http://www.tnlf.jp/