ヒュゲリなコラム

衝撃!世界を驚かせたストックホルム暴動の真相に迫る。

暴動による放火で炎を上げる乗用車(ロイター)

暴動による放火で炎を上げる乗用車写真: ロイター

ストックホルムで暴動が起きたこと、日本の皆さんはテレビやインターネットのニュースでごらんになったかもしれません。

日本で報道されているスウェーデンって、福祉大国で育児がしやすくてお洒落で…みたいな感じでしょうか。住んでみると「あれ?思ってたのと違う!」ということはどこの国でも起こりえますが、スウェーデンもそんな国の一つ。

私はスウェーデンに住んでまだ2年ちょっとの新参者ですが、その私から見た今回の暴動、そしてスウェーデンの移民政策について感じたことを書きたいと思います。

もくじ

そもそも、スウェーデンで暴動が起きた原因って?

そもそも今回の暴動の引き金になったのは、Husbyという移民が多く住む地区で、立てこもり事件を起こした男性を警察が射殺したことだといわれています。それに怒ったHusby地区住民が、警察車両への投石を始め、それがやがて一般車両や幼稚園への放火へとエスカレートしてしまいました。

当初はそれほど深刻な状況ではなかったのですが、今回の暴動は警察への報復ではなく若者が集まって「どれくらいヤバいことをできるか」というのを仲間内に見せるため、というような目的が加わってしまったために騒ぎが広がったのではないかと私は思います。

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というのも、この騒動で店を壊されたり車を燃やされたりしたのはこの土地に住んでいたり商売を営んでいる人。移民が考える「権力」の象徴じゃないんです。

もちろん背景に移民問題があることは否めません。ただ今回の暴動に加わったのは、比較的若い人たち。そしてThe Local誌によれば、暴動にはそれらの若者に加え犯罪背景(逮捕歴)のある人たち、急進的な左翼の人たちが参加しており、一概に「移民の不満が爆発した」とはいえない状況になっているのです。(ちなみにこの記事を書いているのも外国のバックグラウンドを持つ記者です)

燃える車を消火している消防士写真: The Local

そのような団体によって、若者を中心に起こされた暴動は「移民政策の失敗が引き起こした悲劇」というレッテルを貼られ、それ以上の追求を許さない雰囲気になってしまいました。私がスウェーデンに来て感じたのが、純スウェーデン人や他の先進国から来た白人は、有色人種・発展途上国の人間に対してすごく立場が弱いのではないかということです。

一部の移民が要求する「もっともっと!」

逆差別とでもいうべき現象が起こっていて、そのために一部の移民はスウェーデンに対して「もっともっと!」と要求するようになってしまいました。戦争難民としてスウェーデンに移住してきた人には住居が与えられ、学校に行くことで毎日補助金ももらえます。SFIと呼ばれる移民のためのスウェーデン語学校にはさまざまな背景を持った移民が通っています。

私が学校に通っていたころ、一度クラスで「学校をよりよくするために」というディスカッションをしたときは、リスニングを強化するためにスウェーデンの映画を見たほうがいいのでは、なんて意見がでる中「お昼まで授業があるんだからランチを支給してほしい、教科書も一人ひとりにほしい、鉛筆とノートもいっぱいほしい」という意見を出した人がいて、一瞬クラスがシーンとしたのを覚えています。そういう考え方の人にとっては「スウェーデン」という「富めるもの」が「貧しいもの」に施すのは当たり前なのかもしれません。

様々な人種が集まるスウェーデン語学校での1枚写真:ライター撮影。様々な人種が集まるスウェーデン語学校での1枚 ※暴動とは関係ありません

スウェーデンのこれからの移民政策

自国でその価値観を持つ分にはいいでしょうが、それをスウェーデンまで持ち込んだことで、スウェーデン人の移民への見方は年々厳しくなっています。

今回の暴動によって、若者はやりたいことができて楽しかったかもしれません。しかし店を壊された移民や、まじめに勉強して就職活動をしている移民にとっては大変な迷惑をこうむる結果となりました。スウェーデンは移民に大して金銭的に寛大な国です。表立って差別することをものすごく嫌っているので、道端で差別的な言葉をかけられたりは、そうそうしません(それでも何度かはありますが…)。

でも、こんな風に「移民は暴動を起こして車に火をつけるんだ」というイメージが広がってしまったら、結局損をするのは私たち移民…。スウェーデンの移民政策が失敗というよりは、「移民というのは必ずしも移住先を好きになってくれて、しっかり働いて税金を納める存在ではない!」という現実が起こした悲劇といえるかもしれません。

移民地区・Jakobsbergの自警団写真: SvD ※上記写真は移民地区・Jakobsbergの自警団です。

当のHusby地区ではこの暴動以前から自警団が結成されており、メンバーには移民もいます。同じような背景をもつメンバーがいることによって、悪いことをしそうな子供の説得がしやすいそうです。

スウェーデンの移民同化政策に期待するだけでなく、われわれからスウェーデン社会に馴染む努力をしなければ、移民政策というものを成功させることはできないのではないでしょうか。

参考:
The Local: Integration, anger, and the Stockholm riots
SvD: Polis misstänker ”yrkesaktivister”