ヒュゲリなインタビュー

YOUは何しに北欧へ? Vol.1:Greenpeaceで活躍されたAkiko Fridさん

ご無沙汰になってしまいました!スウェーデンライターaikoです。実は、ここ最近あたためていた新企画があるんです。その名も…「YOUは何しに北欧へ?」

タイトルは完全にテレ◯東京の人気番組を意識しておりますが、そこは大目に見てください(笑)。

私がスウェーデンに住んでいたときに、東京で普通に生活しているだけじゃ出会うことのないような日本人の方々と、たくさん知り合うことができました。一人ひとりスウェーデンに来た理由は異なり、また活躍している分野も様々で、「あぁ、こんなところで、こんな分野で頑張っている日本人がいるんだなぁ」と思うことが多々ありました。また、そういう方々に出会う度に「同じ日本人として私も頑張らなくちゃ!」と励まされたり…。

私がスウェーデンで味わってきたそんな刺激を一人でも多くの方と共有したく、北欧で活躍されている日本人の方々をご紹介するという企画を始めることにしました。

記念すべき第一弾は、スウェーデン在住歴20年で現在オスビーというスウェーデン南部の町に住んでいるアキコ・フリッド(Akiko Frid)さんです。ぜひお楽しみください!

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1. スウェーデンに引っ越したきっかけを教えてください!

東京で出会ったスウェーデン人と日本で結婚し、翌年にこちらに越してきました。

2. 今までどのような活動をされてきたのですか?

1996年から遺伝子組み換え食品の危険性に関する問題に携わり、消費者団体や環境保護団体と一緒に活動してきました。

1999年からは、国際環境保護団体グリーンピース(Greenpeace)で少しずつリサーチの仕事をするようになり、2003年春から2013年は継続して仕事をしました。2006年から2007年まで日本で、2008年から2013年春までスウェーデンで、遺伝子組み換え問題のキャンペーナーを担当しました。

その長年続けてきた仕事が一段落したので二月いっぱいで辞め、旅のプロデュースやイベント企画などを中心とした自営業を始めたところです。

これまでの仕事で心身ともに疲れたので、今年いっぱいは自分自身の充電と今後の準備期間として費やすことにしました。こんな機会は滅多にないでしょうから。

3. スウェーデンに来て仕事上で一番の苦労話(あるいはカルチャーギャップを感じたこと)を教えてください。

スウェーデンの人はディベートすることに慣れていますが、私自身はそういうことに不慣れだったので、最初は戸惑いました。何か発言しない限り、その場にいなかったようになるのではと、焦りを感じたりもしました。

それから、職場でストレスを感じているのにそのことを人に言えず我慢している人が多いことも気になりました。ディベートでは達者なのに、自分のことになると人に話すことが苦手な人が多いことも、最初はなんでなのかよくわかりませんでした。

でも自分は自分としてしか生きられないので、あまり気にしないことにしました。

4. スウェーデンに来て仕事上で一番嬉しかった話を教えてください。

私が担当していた問題が解決した時です。自分としては三つの目標を立てていました:

スウェーデンにGMOフリーゾーン(遺伝子組み換えのない地域)を作るムーブメントを作ること。
私がキャンペーナーを始めた2008年には存在しなかったGMOフリーゾーンが各地に出来ました。

スウェーデンの農業から遺伝子組み換えをなくすこと。
スウェーデンでは2006年から家畜動物に遺伝子組み換え作物由来の飼料を使用していたのですが、2011年にはその方針が変わり、現在は遺伝子組み換え飼料は使用されていません。

スウェーデンから遺伝子組み換え作物の商業栽培をなくすこと。
スウェーデンでは2010年から、遺伝子組み換えジャガイモの商業栽培が開始されたのですが、私たちは2011年の春に大々的な直接抗議行動を起こし、2012年の栽培は中止となりました。遺伝子組み換えジャガイモを作った多国籍企業は、2012年にヨーロッパからアメリカに拠点を移しました。

これら3つの目標すべてを達成できたので、ちょうどいいタイミングで仕事を辞めることが出来ました。後任にバトンタッチする必要なく、プロジェクトを無事に終えて円満に職場を辞められたので、とても良かったと思っています。

5. アキコさんがスウェーデンで学んだ仕事術あるいはライフスタイルで、日本でも取り入れられそうな(あるいは日本人が見習うべき)ことはありますか?

シンプルライフでしょうか。仕事と余暇をバランス良く取ること。これはスウェーデンの人が出来ているということではありませんが、仕事を定時で終わらせることや、休みをきちんと取ることは、職場で厳しく言われていました。

私の職場は部署によっては定時に終わらせることが不可能な場合や休日出勤をしなければならない場合がありましたが、その場合には「振り替え休日を取るように」とよく注意がありました。それでも取らなかった長期勤務者の場合は、長期休暇を取ることになっていました。

近年では育児休暇を活用する男性が増えてきたことも、共働きの国であるスウェーデンと日本との異なる部分でしょうか。

6. アキコさんにとって、もっともヒュゲリ(デンマーク語で「心地良い」)な瞬間はなんですか?

私は、本当の自然を感じている時が一番リラックスできます。スウェーデンは森と湖の国として知られています。一度、森林保護されている北の原生林に行ったことがあるのですが、あの神聖なる感覚は一生忘れないだろうと思います。

それから先日は、地元の人たちの手で保全されている森に行きました。スウェーデン全体でよく見られる、産業のために植林された森林とはかなり違い、木々が生き生きとしていて人間と森の共存を感じることが出来ました。そんな時、私は最高にリラックスできます。

7. この企画は、リレー形式で続けようと思います。北欧で活躍されている日本人の方をご存知でしたら、ぜひご紹介ください!

ご紹介したい人はストックホルムで、日本の手仕事とお茶のお店をご夫婦でやっているアケチ・ナオコさん。ナオコさんとは数回会っただけですが、同じ群馬出身で、なんだか親近感がわきました。とてもいい方です。

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ということで、いかがでしたでしょうか?

遺伝子組み換え食品については、恥ずかしながら私はほとんど意識したことがなかったのですが、アキコさんが問題だと感じていたことを、ちゃんと解決に導いたという話はとても印象的でした。主張することや、アイデアを出すことは簡単ですが、そこに実行力が伴って初めて価値が生まれるものだと思います。ちゃんと実行に移して目標を達成させたアキコさんはかっこいいです!

北の原生林の神聖なる感覚、というのも魅力的なお話でした。私もスウェーデンでは、毎日当たり前のように自然に癒されていましたが、あれほどヒュゲリな瞬間は無いと思います。

ということでアキコさん、ありがとうございました!今年は充電期間ということですが、来年からどんなことにチャレンジされるのでしょうか?ヒュゲリニュースも引き続きアキコさんを応援していきたいと思います。

そしてバトンタッチは、ストックホルム在住のアケチ・ナオコさんへ。次回のインタビューもお楽しみに!