ヒュゲリなコラム

スウェーデン初?音楽祭の締めくくりは“ホームレス”!

先日、ヨーロッパ最大の音楽コンテストであるユーロビジョン(Eurovision)にて、同性愛者であるオーストリア代表のコンチータ(Conchita)が優勝し、日本でも注目を浴びました。そして、今度はスウェーデンのホームレスが日本でも話題になるかもしれません!なんと、スウェーデンでホームレス音楽コンテストなるものが開催されるんです!

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画像:Hemlösa.se

ホームレス音楽コンテストの内容は、主催する慈善団体ヘムルーサ・プンクト・セー(Hemlösa.se)に10月31日までに寄せられた曲の中から32曲が審査員によって選ばれ、11月28日から翌年1月16日の期間の毎週金曜日に4曲から1曲が選出されます。そして、予選を勝ち残った8曲が、国際ホームレスの日である1月20日に決勝戦を行い優勝ソングが決まるのです。

ホームレス音楽コンテストといっても、ホームレスだけでなくどなたでも参加可能で、優勝ソングは2015年のホームレスソングになるそうです。更に、優勝ソングはリリースされ、その収益の85%がホームレス支援のために主催団体に入ります。著作権は主催団体に移りますが、作詞作曲家にも収益の15%が還元される仕組みになっているのです。

この音楽コンテストの模様はスウェーデンの公共テレビ局であるSVTでも生中継されるようで、規模の大きなイベントになるようです。

曲の長さは最大5分、ジャンル、テキストの内容は問わないということなので、曲作りに自信がある方、2015年のスウェーデンのホームレスソングの座を狙ってみてはいかがでしょうか?

もくじ

福祉大国スウェーデンにもホームレス?

男女平等、子どもの権利、高齢者福祉、寛大な難民受入など、人権あるいは福祉と名のつく分野において世界のお手本として紹介され、日本の比較対象にされがちなのがスウェーデン。

このような印象が強いので、「そもそもスウェーデンにもホームレスっているの?」と思われた方も多いのではないでしょうか。実は、2011年のスウェーデン社会福祉庁(Socialstyrelsen)が行った調査によると、スウェーデンのホームレスの総数は年々増加し、約34,000人を数えるまでになっています。

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画像:Anna König Jerlmyr (M), socialborgarråd i Stockholm: Soppkön ger sned bild av hemlösheten | Samhälle | Debattämnen | Debatt | Aftonbladet

しかし、一概に「ホームレス」と言ってもそれぞれの国でその定義は異なるので、「そんなに多いの?!」「福祉大国スウェーデンも終わったな」と、冷めないでくださいね(笑)。

スウェーデンのホームレスの定義をざっくり言うと、「緊急時用の施設、シェルター、就寝時用の施設に依存している者または野宿者。友人・知人または親族の住居に居候している者等」です。日本のホームレスの定義:「都市公園、河川、道路、駅舎その他の施設を故なく起居の場所として日常生活を送っている者」と比較すると、スウェーデンの方がホームレスをより広く捉えていることがわかりますよね。

スウェーデンのホームレスは、寝起きする場所によって統計上4グループに分類されるのですが、最も日本の定義に近いグループの総数を見てみると約4,500人います。その中でも、常に屋外あるいはベンチ等の公共のスペースで起居しなければならない最も困難な状況下にいる人は約280人いるというデータも出ています。

どちらにせよ、冬には極寒を迎えるスウェーデンにもホームレスがいるということは確かです。

ホームレスサンタ

ホームレス音楽コンテストを主催する慈善団体であるヘムルーサ・プンクト・セーは、他にも画期的なホームレス支援やホームレスのためのイベントを行っているみたいです。

スポーツチームを結成し、教会所有の体育館で最低週に一回は体を動かす機会を設けたり、クリエーター育成イベントを開催して、ホームレスの人の手に職を就けられるお手伝いをしたりもしています。また、クリスマスの時期になると「ホームレスサンタ(Hemlösas Tomte)」として、施しをもらいに集まったホームレス一人ひとりにプレゼントを渡す活動もしています。

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画像:Hemlösa.se

当団体の代表であるカヴィアン・フェドウシ(Kavian Fedowsi)は、「ホームレスの人が寒い中お腹を空かしていることを考えたら、自分の心が痛む」「本当に希望や愛が必要なのはホームレスの人々だ」と語っています。

彼はイランからの難民であり、自身もホームレス経験を持つことから、その境遇の悲惨さ、一旦陥ってしまうとどれだけ努力してもなかなか抜け出せない辛さをよく知っているからこそ、ホームレスの人の状況を真に自分のことのように考えることができるのでしょう。

ホームレス音楽コンテストは、そんなカヴィアンが、スウェーデン社会に更なるインパクトを起こす起爆剤になるかもしれませんね。

参考:
Anna König Jerlmyr (M), socialborgarråd i Stockholm: Soppkön ger sned bild av hemlösheten | Samhälle | Debattämnen | Debatt | Aftonbladet
Hemlösa.se
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Hemlöshet bland utrikesfödda personer utan permanent uppehållstillstånd i Sverige
Hemlöshetens omfattning i Sverige
Hemlösa får julklappar – Nyheter | SVT.se